二の篭(バルヴァン文)

□恋するシリーズ
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 ■ Love Me Tender ■



ある夜の宿の一室。
今日は久しぶりにバルフレアとヴァンが同室だったのだが――――。


「なあ、バルフレア。」
「ああ?」
「ちょっと!そんなイヤそうに返事すんなよ!」
「うるせぇな、さっさと用件を言え!俺様は読書中だ。」
「もういい!」
「あ、そ。」
「・・・ちょっと!」
「たく、何だよ?」
「気になんないの?何の話だったか?」
「もう、いいんだろ?」
「・・・そう・・・だけど。」
「なら、いいじゃねぇか。」
「う・・・。」


読んでるふりの本から、そっと目だけ上げてヴァンを見る。
すると、予想通りの泣きそうな膨れっ面をしている。
バカだな、ヴァン。
すぐに俺の言葉に反応して、無防備にそんな可愛い顔をするから、ついつい虐めたくなるのに。


「オレ、出かけてくる。」
「バッシュの部屋か?」
「違う!出かけるのっ!」
「じゃ、トマジんとこか?」
「違う、レダスのとこ。誰かさんが話し聞いてくれないから、レダスに聞いてもらってくる!」
「お前・・・!」
「だって、バルフレアはオレより本読む方が大事なんだもんな。」
「・・・。」
「じゃあ、行って来るね。」


ドアに手をかけて、そっと後ろを伺う。
本の隙間から不機嫌に寄せられた眉が見える。
やっぱりね。
ホント、あんたって意地悪で素直じゃない。あんまりオレの事いじめてばかりいると、どっか行っちゃうよ?


「おい!」「あのさ・・」

二人同時に出した呼びかけ。お互いに驚いて、苦笑い。
「何だよ、なんか用?」
「お前こそ、何だ?」

口では、まだそんな憎まれ口が出るけど、もうお互いの気持ちはバレバレだ。
ぷっと吹き出すと、笑いながらヴァンはバルフレアの胸に飛び込んで行った。
見かけより、ずっとたくましい胸にぎゅっと抱きつくと、荒っぽく髪をかき混ぜられて胸にぐいぐい押し付けられた。
まるで、行くなっていうみたいに―――。
押し付けられた胸から、いつもより早い鼓動が聞こえて、ヴァンは笑いながらバルフレアの胸に顔を埋めた。



〜FIN〜


(2010/7/23)




*篭のバルヴァン設定の基本的な話です。
バルは俺様で、ヴァンは意地っ張りな子犬。
でも、ベタ惚れ同士(^^;)


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