二の篭(バルヴァン文)

□Season's Greetings(2015年〜)
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20222年2月22日!!
歴史的猫の日(=^・^=)

・・・ということで、なんか猫的なものを書こうと思ったのですが、案の定玉砕(;^_^A

全然猫の日関係なくね?な話ですが、気分だけ乗っかりましたw




■ 猫の日SS ■




港町バーフォンハイム。
この町にある白波亭のテラス席で、バルフレアは相棒の美しきヴィエラと優雅に昼下がりのランチを楽しんでいた。
少しばかり骨の折れる仕事だったが、それを補って余りあるほどの報酬をゲットした。そのおかげか、この切れ者の空賊にしては随分とリラックスした様子だった。
そんな彼の足元にすりっと一匹の猫が近寄ってきた。淡い麦の稲穂のような毛色で、蒼いビー玉のような瞳でバルフレアを見上げる。そして、甘えるようににゃあと小さく鳴いた。

「ん?なんだお腹が空いてるのか?」

足元の小さな金色の毛玉にバルフレアは優しく声をかけた。そして、サラダの皿からあまりドレッシングがかかってなさそうな所を選んで、小エビと白身魚の切れ端を猫の前に落としてやった。
すると猫は嬉しそうにガツガツとそれを食べ始めた。
その様子を機嫌よさそうに見て、バルフレアはゆっくりと赤ワインを口に運んだ。

「優しいのね。あなた、そんなに猫が好きだったかしら?」

向かいに座ったフランは長い耳をかしげて、からかうように声を掛ける。

「隙も嫌いもないさ。たまたま俺様の機嫌が良かっただけさ」

仕事も無事終わって、割のいい報酬もゲットできただろうと、バルフレアは薄く笑みを浮かべて肩をすくめてみせた。
そんなバルフレアに、賢き相棒はにっこりと微笑み返した。

「そうね。仕事も終わったし、私はしばらくはゆっくりとする事にするわ。また次の仕事が入るまでは別行動でいいかしら?」

そう言うと、フランはバルフレアの返事を待たずに席を立った。そして、見事な銀髪を揺らして白波亭から去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、バルフレアは背中にヒヤリと汗をかいていた。

足元の猫を見た時、その偶然すぎるカラーリングに思わず脳裏に浮かんだ愛しい少年の姿。
甘えるようにすり寄られ鳴かれて、正直目の前にいる相棒には知られたくはない記憶が蘇ってしまった。
決してちらりとも顔色には出していなかったはずだが、相手はあの賢き相棒だ。ヴァンではないが、亀の甲より年の劫だ。

バルフレアはふぅっとため息をつくと、席を立った。そして、まだ物足りないようにこちらを見上げる猫をひとなですると、多めのチップをテーブル置いて、愛しい少年の住む町へと向かうため足早に白波亭を後にしたのだった。


〜FIN〜


(2022/2/22)

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