DDFFの篭

□FF12ヶ月物語
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【 9月・・・9X12 】




「なあ、なんで俺らはこの世界に呼ばれたんだと思う?」


ひずみを解放して聖域に帰る道すがら、突然そんな質問を投げかけたジタンを、バッツとオニオンナイトはキョトンとした顔で見た。少し後ろを歩くスコールも、いぶかしげに目を細めた。
すぐには返す言葉が見つからない仲間たちの様子に、ジタンは小さく肩をすくめ、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「質問が難しかったかい?なら、言い換えようか。この世界って女の子が少ないよな。」


途端にバッツは噴き出し、スコールは憮然と顔を顰めた。
「ジタンてさぁ、いっつも女の子のこと気にしてるよね?」
オニオンナイトが唇を尖らせながら、少年らしい潔癖さでジタンを非難した。
「そんなこと気にしている暇なんてないと思うんだけど。なんでじゃなくて、なんのために僕らはこの世界に呼ばれたんだと思う?」
先ほどのジタンの質問を逆手に取ったオニオンの言葉に、ジタンは苦笑いしながら頭をかいた。
「わりぃ、わりぃ。でもさ、どんな時でも楽しむことは必要だろう?」
だが、オニオンは返事をせずにプイっと不機嫌な顔を背け足を速めた。そして、スコールは
「・・・くだらない。」
と、ボソリと言い捨てて、ジタンを追い越して行った。
「ま、気にすんなって。」
残ったバッツがジタンの肩を叩いて、笑顔を向ける。それに笑い返して2人が聖域に足を踏み入れた途端、ライトニングの怒鳴り声が聞こえた。



「まったく、お前は何回同じことを注意すれば分かるんだ?!」


顔を怒りで赤く染めて怒鳴るライトニングの前には、やはりと言うか、当然というか、ヴァンの姿があった。
ひずみを解放するパーティ決めの際、何故かこの2人はよく同じパーティになる。
多彩なブレイブ攻撃を持つヴァンは、かなり戦闘能力が高い。だから、本来ヴァンはどんなメンバーとも組めるオールマイティーな戦士のはずなのだが、何故かライトニングのパーティになることが多かった。
そして、ライトニングのみならず、そのパーティにはティファやユウナが入っていることが多い。理由は、ヴァンとライトニングが揉めた時の仲裁役らしいのだが、結果ヴァンは、3人しかいない女の子をほぼ独り占めしているような状態だった。


「もう、分かったって。今度は気をつけるって。」
柳眉を逆立てて怒るライトニングとは明らかに違うのどかな口調でヴァンは言うと、ふわりと笑った。
一瞬その笑顔に呆気に取られたライトニングだったが、すぐに顔を引き締めた。
「その今度はいつだ?前にもお前はそう言ったが、この始末だ。」
低い声ですごむように言うライトニングの姿は、正直かなり怖い。2人を見つめるジタンとバッツは、思わずゴクリとつばを飲んだ。
だが、ヴァンは気にした様子もなくケロリとして言った。
「そうだっけ?なら、またライトが注意してくれよ。」
「なっ・・・!ふざけるなっ!」
また雷を落とすライトニングに、ヴァンは一向に臆することなく手を首の後ろで組んで笑った。
「だって忘れてしもうもんは仕方ないだろ?だから、ライト頼むな。」
そう言うとヴァンは、今度は腹を押さえて「腹へった〜」と言いながら、夕食の支度をしているティファとユウナの元へと走って行った。



「ヴァン、ちゃんとライトの言うこと分かったの?」
ちらりとライトニングに視線を走らせた後、ティファが小声で尋ねる。
「うん、一応。」
無邪気に頷くヴァンに、ユウナは困ったような笑顔を浮かべた。
「でも、また忘れちゃうんッスね?」
「そう。だから、ライトに頼むって言っといた。」
「「あ〜あ、ライト可哀想・・・。」」
ヴァンの答えに、ティファとユウナは声をそろえて呟いた。
だが肝心のヴァンは、そんな2人の嘆きをどこ吹く風の様子だ。
「それよりティファ、今日の晩飯なに?」
「ヴァンの好きなお肉のシチュー。」
「やったーーv」



聞こえてくるのどかな3人の声に、後に残されたライトニングはがっくりと肩を落とした。
そして、溜め息をひとつ付くと、明日の予定を立てるウォーリアとカインの元へと足早に去っていった。
それを黙って見守りながら、ジタンも溜め息をひとつ付いた。
「あーあ、これで明日もヴァンはライトと同じパーティだな。」
「へぇー、なんでそんな事分かるんだ?」
不思議そうに尋ねるバッツに、ジタンは肩をすくめて両手を広げた。
「なんとなくね、そんな気がしただけ。」


だって、ジタンは見てしまったのだ。
仕方なさそうに溜め息を付いた後に、ライトニングが一瞬優しい笑みを浮かべたのを。
柔らかで、慈愛に満ちた美しい笑顔だった。

(ずりぃよ、ヴァン・・・。)

ジタンは心の中でこっそりぼやくと、バッツを促して自分達のテントへと向かった。




〜FIN〜




わああ、ジタンファンの方に怒られそうな話ですみません!(><)
「最後の戦い」でジタンの言ったセリフから、考えた話でした。


フェミニストなジタンは、とっても女の子に優しいと思うのですが、気をつかわないヴァンの方が意外にもてたら面白いなって思います。ヴァンって、母性本能くすぐりますもんねーvv
ライト姐さんは、きっとツボを押されまくっているはず!


(9月 拍手文)
こちらにUP時に、本文をちょこっと加筆修正しました。


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