DDFFの篭

□FF12ヶ月物語
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【 2月・・・2X12 】


「なあ、フリオニールって『浮気者』なの?」

武器の手入れの最中、突然かけられた質問。
あまりに身に覚えのない内容に、腹が立つより笑いが込み上げた。
「違うよ。でも、なんで俺が『浮気者』と思うんだい?」
すると、ヴァンは少し拗ねたように頬を膨らませながら答えた。
「だってさ、フリオずるいじゃないか。そんないっぱい武器が扱えて。」


確かに俺は『ウエポンスペシャリスト』
多彩な武器を使いこなし、すべての武器を装備できる。
だが、それはヴァンだって同じだ。『スイッチアタッカー』の彼は、各種の武器を使いこなし、地上・空中を問わない多彩な攻撃アビリティが持ち味のはずだ。
それなのに、「俺がずるい」と拗ねている。


「ずるくないし、浮気者でもないよ。」
笑いながらヴァンの頭に手を置くと、ヴァンは照れたような笑みを返した。
そして、ペコッと小さく頭を下げた。
「ごめん。本当はちょっと羨ましいんだ。」
その素直な言葉に、また笑いが込み上げた。


いつも、ヴァンは自由奔放な発言で仲間の顰蹙をかう。
けれど、彼の言葉に呆れたり怒ったりしながらも、みな最後には笑っている。
きっと、誰もが少なからず心の中で隠れて考えていることを、ヴァンが代弁しているからだろう。言ってみたいけど、言ってはいけないこと。聞いてみたいけど、聞いてはいけないこと。
そして結果「ヴァンだから仕方ない」とみな許すのだ。
内心すっきりした気持ちで。


「ヴァンこそ、ずるいよ。」
俺は笑いながら言った。すると、たちまちヴァンの口が尖る。
「なんで、オレがずるいんだよ?」
「どうしても。」
「なに、それ?フリオわかんないって!ちゃんと説明しろよ。」
「いやだ。」
「えー?」
ヴァンが蒼の瞳を丸くして、俺の顔を不思議そうに見上げた。
俺は、そんなヴァンを笑いながら見詰め返した。


ああ。悪いけど、俺には説明できないよ、ヴァン。
だって、「そんなに可愛くてずるい」なんて言えないじゃないか。



〜FIN〜


ゲームで、私はフリオを一番多用してました。
ヴァンより使いやすかったかも(^^;)
その時に、ヴァンなら「こんなにいっぱい武器使えるなんてずるい!」って言いそうだな〜と思ったことからの妄想話です。



(2月 拍手文)
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