DDFFの篭

□FF12ヶ月物語
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【 12月・・・12X012 】



暗い森の中を轟々と唸るように走る魔列車。
コスモス軍一行は、速やかな移動と今宵の宿を兼ねて、この列車に乗りこんでいた。
相変わらず乗務員の姿などチラとも見かけたことがないのに、食堂車にはきちんと人数分の夕食が用意されていた。今までの経験上、その食事が大変美味だと知っている一行は、訝しく思いながらもその夕食を平らげた。
そして皆、思い思いの車両に散らばり、暫しの休息を楽しんでいた。
そんな中、ライトニングは白い紙を前に一人難しい顔をして考えこんでいた。



「あ、こんな所にいたの?ライト。」
「探したッス。」
不意に車両のドアが開いて、ティファとユウナが顔を覗かせた。
「どうした?何か問題か?」
途端に整った眉をひそめたライトニングに、ティファは慌ててひらひらと手を顔の前で振った。
「違う、違う。紅茶をいれたから、ライトにもって思っただけ。」
そう説明するティファの横から、ユウナがライトニングの座席の前の細いテーブルに三つティーカップを乗せたお盆を置いた。カップからは温かな湯気と良い香りが立ち上っている。ライトニングは愁眉を開いて柔らかな笑みを浮かべた。
「そうか。わざわざ済まない。」
「どういたしまして。」
ティファとユウナも微笑み返しながら、ライトニングの前の席に座った。
自然三人の目はテーブルに落ち、ライトニングの前の紙に集まった。
「これ、明日のパーティ分け?ライト一人で決めてるの?」
紙を覗き込んだユウナが尋ねた。
紙にはライトニングの几帳面な字で三人のパーティリーダーの名前が書かれていた。ウォーリア、ジェクト、ライトニングだ。
しかし、他の名前はまだ書き込まれていなかった。
「最初はウォーリアとカインもいたのだがな、酒盛りをするとかでジェクトに連れて行かれた。」
肩を竦めるライトニングに、ユウナは自分が悪いことをしたように頭を下げた。
「ジェクトさんたら・・・。ごめんね、ライト。」
そんなユウナに、ライトニングは苦笑を漏らした。
「なんでユウナが謝る。それに、」
と、彼女にしては珍しく悪戯な光を瞳に宿らせると、優しい声音で続けた。
「ユウナとティファが手伝ってくれるだろう?」
それを聞いて、ユウナは破顔一笑した。
「もちろんだよ、任せるッス!」



そうして三人は頭を付き合わせるようにしながら、パーティ分けに取り組んだ。
しかしながら、この作業はユウナ達が思っていた以上に気を使う難しい仕事だった。
コスモス軍は、年齢、バトルスタイル、アビリティ、気性も全く違う戦士達の集まりだ。それを過不足なく均等に三つのパーティに分けねばならない。しかも、全員が一癖も二癖もある連中なので、相性にも気を配らねばならなかった。
いっそ毎回同じパーティにすれば良いと思わないではないが、それではその時々の敵や地形、状況に合わないことがある。それに、味方の戦い方を見て成長する部分も大いにある。
そのため、年かさの戦士達が毎回パーティを組み替えるのだった。


「わあ、これって大変な作業だね〜。」
ようやく半分以上パーティ分けが決まって、ティファがうーんと伸びをした。
「ほんと大変。でも、ちょっと楽しいッス。」
そう笑ったユウナに、ティファは悪戯っぽい顔で小首をかしげた。
「あれ?なんかユウナのその言い方、ヴァンみたい。」
「え?そうかな・・・。」
びっくりしたようにオッドアイを大きく見開くユウナに、ライトニングも頷いた。
「何でも『楽しみ』にするのは、確かにヴァンの専売特許だな。」
「えー、ライトまで・・・。でも、確かにそうかも。」
首をひねりながらも肯定するユウナの横で、ライトニングはヴァンを思い出してぎゅっと眉をしかめた。
「たく、あいつときたら考えが甘いというか、楽天的というか、まったく掴み処がない。」
ぶつぶつと文句を言うライトニングに、ティファは楽しげに言った。
「だけど、そんなヴァンを放っておけないないんだよね、ライトは?」
途端に、ライトニングはキッとティファを睨んだ。
「当たり前だ!あんなふざけたヤツは、他のやつらに任しておけん!私が教育し直してやる!」
そう言うなり、ライトニングは自分のパーティにヴァンの名前を書き込んだ。


そんなライトニングに、ティファとユウナは思わず顔を見合わせた。
冷静そうに見えて、人一倍心の奥に熱い情熱を秘めているライトニング。凛とした態度と強い眼差しで、コスモス軍のリーダー格として皆に信頼されている。
そんな彼女を無邪気に振り回してしまうヴァンは、大物なのか只の子供なのか―――まったく底が知れない。
でも、そんな二人が同じパーティなら、自分たちも是非そこに入りたかった。
「えー、じゃあ私たちもライトとヴァンのパーティに入れて!」
「は?お前たちはジェクトとウォーリアのパーティだっただろう?」
驚くライトニングを尻目に、勝手に自分たちの名前を書き込むティファとユウナ。
「いいから、いいから。あ、ついでにラグナも入れよう。」
「そうだね。じゃあ、アシストは大人な対応ができるカインにするッス。」
「うん。それで決まり!」
あれよあれよと言う間に、ライトニングのパーティが決まった。
呆然とするライトニングに、ティファとユウナはパチンと手を合わせた。
「勝手に決めてごめん、ライト。でも、いいでしょう?」
甘えるような上目使いで言われて、ライトニングは諦めたように溜め息をついた。
「勝手にしろ。もう、考えるのが面倒くさい。」
そんな拗ねた口ぶりで、ライトニングは席を立った。
「後のパーティ分けは頼んだ。問題児がいないから、すぐ決まるだろう。」
そう言い捨てて、ライトニングは車両を出て行く。
後に残されたティファとユウナは、楽しげに笑いながらペンを取り上げた。



〜FIN〜



DDFF的ガールズトーク編?
012組はこうして編成されたのです〜(大ウソです^^;)

ライト姐さんのヴァンに対するキレっぷりが大好きで、次元の扉前のヴァンとライトの会話がツボでしたv
年上のお姉さまを無邪気に振り回すヴァンの天然ぶりは、アーシェによって磨きがかけられたものでしょう。
ヴァンは名前しか出てきませんでしたが、書いててとても楽しかったです〜^^


次ページ、おまけ文あります^^


(12月 拍手文)

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