DDFFの篭

□ラグヴァン短編集
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目の前のヴァンから、とろけるような笑顔で「あーん」などとされて、ラグナは鼻血が出そうになった。

(なんだ、このラブラブカップルみたいなやり取り!何教えてんだ、ジェクトは!)

内心は激しく動揺しながらも、ラグナはヴァンの笑顔に釣られて、パクリとケーキを頬張った。
「ラグナ、美味しい?」
無邪気にヴァンに尋ねられて、ラグナのボルテージは更に上がった。
「うん、美味しい。」
ヴァンにそう返事すると、いそいそと今度は自分がケーキをフォークに刺し、ヴァンの口元へと持っていった。
「ほら、ヴァンもあーん。」
すると、同じようにケーキをパクリと食べ、ヴァンは満足そうに頷いた。
「うん、美味しい!焦げたとこがカリカリして美味しいな、ラグナ。」
「そうだな。」
もう目の前のヴァンが可愛い過ぎて、ラグナの忍耐は我慢の限界だった。

(こんなケーキよりも、俺は早くヴァンが食べたい!!)

ラグナはさっさとケーキを片付けようと、残ったケーキにフォークを刺そうとした。
すると、ヴァンが「あ!」という顔をして、そのくせ恥ずかしそうに俯いた。
「どうした、ヴァン。これは普通に食べたかったのか?」
ラグナがフォークを引っ込めると、ヴァンは何故かますます恥ずかしげに顔を赤くした。
「ヴァン?」
ラグナがそう呼びかけると、ヴァンは俯いたままボソボソと言った。
「あのさ、実はジェクトからさっきのよりもっと美味しくなる食べ方も教えてもらったんだ。上級者向けなんだって。ラグナ、やってみる?」

(あの親父、ヴァンにどんだけヘンテコなことを教えたんだ?)

内心苦々しく思いながらも、さっさとケーキを片付けたいラグナは笑って頷いた。
「いいよ。美味しくなるなら、やってみようぜ。」
すると、ヴァンはフォークを置いて、手でケーキをつまむと言った。
「今度はさ、ケーキをお互いに口でくわえるんだって。で、両端から食べていくらしいんだけど。」
「・・・っ!!」
ラグナは、内心で声にならない叫びを上げた。

(ジェクトォ―――!あんのエロ親父は、なんちゅうことをヴァンに教えてんだ!?ま、まさか、実践してみたわけじゃないだろうな!)

そのシーンを想像しただけで、ラグナはわなわなと怒りに身体が震えた。
だが、ヴァンはそんなラグナの様子には気がつかずに、パクリとケーキを口にくわえ「はい」とラグナの方にケーキを向けた。
まるで酒の席での悪ノリしたゲームのようなのに、ジェクトを信じてやろうとしている純真なヴァンに、ラグナはキテしまった。
完全に理性と忍耐がぶっ飛んだ。
「ヴァン!」
ラグナは、ガシッとヴァンの肩を掴むと、厳かな口調で言った。
「いいか、ジェクトは大きな思い違いをしている。」
「ふぇ?」
ケーキをくわえたまま、ヴァンは目をパチクリとした。ラグナはゆっくりと顔を近付けながら、更に言った。
「このやり方はな、ケーキを美味しくするんじゃない。お前を美味しくするんだよ。」
そう言うが早いか、ラグナはバクリとケーキにかぶりついた。そして、あっという間にヴァンの唇の所まで食べ進めると、ヴァンを寝床の上に押し倒した。


「ん―!ん―、んん――っ!」
ヴァンの声にならない抵抗は、キテしまったラグナの前には何の効果もなかった。
ラグナの胸を叩くヴァンの手からやがて力が抜けて、ぱたりとシーツの上に落ちた。その手にラグナが指を滑り込ませれば、ヴァンもそっと握り返した。
2人だけのテントの中は、お互いの熱い息使いと甘いケーキの香りでいっぱいになった。
そして、クリスマスイヴの夜は静かに更けて行った。



〜FIN〜



(2011/12/22)




まずは、ジェクトファンの方々、本当にごめんなさい!
ラグナのエロ親父が、すっかり伝染ってしまいました(>ω<;)

クリスマスにこんな話でいいのか?とも思いましたが、我が家のアホ可愛いラグヴァンは、いつでもラブラブいちゃいちゃだろう!とUpしました。

どうぞ、楽しいクリスマスをお過ごしください!


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