DDFFの篭

□ラグヴァン短編集
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【 12月8日★記念SS 】
    

* Love is without reason. *


不意にずしりと腹の上に乗った重みに、ラグナは眠りを破られた。
ゆっくりと覚醒していく意識の中で、覚えのある香りが鼻をくすぐった。
「ヴァン・・・?」
むりやり目をこじ開けながら、ラグナはかすれた声でつぶやいた。
すると、ふっと笑ったような吐息が頬にかかり、柔らかく唇が重ねられた。小さな水音を奏でながら繰り返し唇が食まれ、くすぐったいような感触に口元がゆるむ。
「おい、ヴァン。どうした?」
ようやく意識がはっきりして、自分の腹の上にまたがりキスを仕掛けてきたヴァンに、ラグナは問いかけた。
ヴァンはその問いに答えずに、少しだけ身体を起こしてふわりと笑い返した。
微かな月明かりだけのテントの中、ヴァンの金髪が淡く光っていた。
上半身には何もつけておらず、むき出しの肩の線がつややかにカーブを描いていた。
その肩に手を回して、そっと抱き締めるとラグナは笑いながら言った。
「こんな夜中に、随分と挑発的な行動だな。おじさん、狼になっちゃうけどいいのかな?」
すると、悪戯な蒼の瞳をキラキラと輝かせながら、ヴァンは言い返した。
「違うよ、今日はオレが襲う番。12月8日だから。」
ほおっと、ラグナが目を丸くすると、ヴァンがラグナの夜着のボタンを外しだした。そして、ラグナの胸をはだけけると唇を押し当てていく。
そのむず痒いような感触に、ラグナは堪らず笑い声をたてた。
「こら、ムード台無し。」
きっと睨まれて、ラグナは苦笑しながら謝った。
「わりぃ、もう笑わない。」
腹の上のヴァンがもぞもぞ動く度、くすぐったいような甘い痺れが腰に響いていく。重なり合った部分は、すでに熱を持ち始めていた。


ヴァンが何を思って夜中に夜ばいをかけてきたのかは分からない。洒落の積もりなのか、あるいはバッツかジタン辺りに唆されたのか。
(12月8日だからって言ってたしな。)
だが、いつもはラグナから求めることがほとんどなので、ヴァンからこんな風に仕掛けられて正直嬉しかった。
(おうおう、燃えちゃうねぇ。やばい。今夜は手加減できないかも。)
ラグナは、ヴァンが知ったら逃げ出しそうなことを考えながら、ヴァンの髪を優しく撫でた。


ヴァンは唇を段々と下腹部へと這わせ、やがてラグナの身体の中心へと到達した。
戸惑うような気配が伝わって、ラグナはヴァンの髪を梳く手を止めた。
両手では足りない程身体を重ね合わせたが、まだまだヴァンは行為に慣れているわけではない。むしろ、回数を重ねたことで躊躇いが生まれた。
若い身体は簡単に快楽を覚え、それに流されていく半面、快楽に溺れてしまうことは恐ろしくもある。いつも強気で快活なヴァンの中には、まだ臆病で傷つきやすい子供の部分が残されていた。
「どうした?もう、襲うのは終わりか。」
ラグナは、優しく尋ねた。
「違うよっ。」
ムッとしたようにヴァンは言い返した。
そしてコクンと息を飲むと、ラグナの下の夜着に手をかけた。少し震える指先でボタンを外すヴァンがいじらしくて、ラグナはフッと笑みをもらした。
「だから、笑うなって。」
たちまちヴァンの拗ねた声がして、ぐいっと上半身にのしかかってきた。
「今度笑ったら、もう止めるからな。」
赤い顔をして怒ったように言うヴァンに、ラグナは肩をすくめた。
「今更それは困る。もう、おじさんこんなだし。」
ラグナは、わざと主張し始めた股間をヴァンの腰に押し当てた。ヴァンの頬がより一層朱に染まった。
「ほんと、あんたってエロ親父!」
「そのエロ親父を襲ってるの、ヴァン君なんだけど。」
からかうようにラグナが言えば、ヴァンはうっと詰まって恨めしげにラグナを睨んだ。
「オレなんでこんなヤツ好きになっちゃったんだろ?」
そんなヴァンを、ラグナは楽しげに見詰め返した。
「好きになるのに理由なんかないさ。恋は思案の外て言うからな。」
ラグナはそう言って、ヴァンの頬に宥めるように優しくキスをした。そして、ヴァンの耳元に低い声で囁いた。
「さあて、ヴァン君。襲われる続き、待ってるんだけど。」
その言葉に、ヴァンは頬をパッと赤く染めたが、悔しそうに勝ち気な瞳をキラキラと光らせた。
「うんと気持ち良くしてやるよ。泣いたって知らないからな。」


半ばやけくそのような、色気のない子供じみた台詞。
だが、ラグナには最高の愛の言葉に聞こえた。
そして、ヴァンから与えられるもどかしくてじれったい愛撫に目を閉じた。



〜FIN〜


(2011/12/8)




夜中にラグナを襲うヴァン^^
でもこの後、攻守逆転するんでしょうけどね〜vvv

ラグナを煽って最後に泣くのは君だからね、ヴァン君!(*^-^*)



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