DDFFの篭

□ラグヴァン短編集
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聖域を出たラグナは、ヴァンを探してウロウロとさ迷った。
ヴァンの可愛いらしい笑顔に、つい調子に乗って口を滑らし失敗したと思うものの、自分の言葉があんなにヴァンに影響を与えると知って悪い気はしなかった。
「お〜い、ヴァ〜ン!」
手を口に当てて呼ぶと、近くの茂みがガサリと揺れた。
ひょいと上から覗きこめば、膝を抱えてうずくまったヴァンがいた。
「ヴァン君、見っけ!何してんの?こんなとこで。」
わざと明るい調子で話しかければ、ヴァンは拗ねた顔でソッポを向いた。よく見れば、鼻の先が少し赤い。

夜の寒さで赤くなったのか、それとも泣いていたのか・・・。

その横顔に愛しさが込み上げて、ラグナはヴァンを後ろから抱きしめた。
「悪かったよ、さっきは。」
柔らかなヴァンの髪に顔を埋め、そっと囁く。
「・・・オレ、ラグナに信用されてないのか?」
ヴァンが小さな声でぽつりと言った。
「いや、信用してる。スッゴくしてる!さっきのは俺の失言だ。許してくれ。」
ラグナは素直にそう謝った。
「オレ、猿や犬じゃないからな。」
スンと鼻を鳴らして、ヴァンが更に拗ねた口調で言った。
「うん、分かってる。お前はヴァンだよ。俺の大好きなヴァンだ。」
笑いながら囁くと、ヴァンの耳が赤く染まった。その柔らかな耳に唇を押し当てて、ラグナは腕の中のヴァンをあやすように揺らした。
「なあ、仲直りしようぜ。ヴァン。」
ゆっくりと振り返ったヴァンに、ラグナはニッコリと微笑んだ。ヴァンはラグナの笑顔に、なぜか泣きそうな顔をした。
「オレ、ガキみたい?」
「ん?」
不思議そうに首を傾げたラグナに、ヴァンは感情を爆発させた。
「ラグナの言ったことに拗ねて聖域を飛び出して、おまけに迎えにきてもらって・・・、オレめちゃくちゃガキじゃんか。」
「う〜ん、そうだね〜。」
ラグナはヴァンをなだめるように、再び腕の中のヴァンを揺らした。ヴァンは一気に言った後は、ションボリと顔を伏せている。
ラグナはヴァンの肩の上に顎を乗せると、夜空の星を眺めながら話し出した。
「人の話は聞かないし、ちっともジッとしてない。すぐに怒るけど、すぐに忘れて笑ってる。こりゃー、やっぱりガキだな。」
「おい、ラグナ!そこまで言うことないだろ。」
ヴァンは耳に痛いことを並べられて、不満げに口を尖らせた。
「わりぃ、わりぃ。でも、そんなトコも全部含めてヴァンなんだ。一つでも欠けたらヴァンじゃなくなる。だから、気にすんな。」
ラグナはヴァンの頬に頬を合わせて言った。抱きしめた腕の中で、ヴァンがスンと小さく鼻をすすった。
そして、小さな声で「ありがとう」とつぶやいた。


「どういたしまして。」
ラグナはおどけて言うと、腕の中のヴァンを持ち上げて自分の方へ向き直らせた。
「わっ。なんだよ、ラグナ。」
ラグナの膝の上に乗せられたため、ちょうど顔の高さが同じになり、ヴァンは照れたように頬を染めた。
「仲直りしよう、ヴァン。」
ラグナはヴァンの赤い頬をそっと両手で挟むと言った。
「ライトニングに仲直りするまで帰って来るなって言われてるんだ。だから、しっかりと仲直りしとこう。」
「しっかりと仲直りってなんだよ?」
苦笑するヴァンの目を見ながら、ラグナは低い声で囁いた。
「身も心もしっかりと、ってこと。」
その思わせぶりな口調に、更にヴァンの頬が朱に染まった。そしてヴァンは戸惑いながらも、上目遣いにラグナを睨み口を尖らせて言った。
「この、エロおやじ。」


だが、赤く尖らせたヴァンの唇はまるでキスをねだるようで、ラグナは笑いながら唇を重ねた。



〜FIN〜


(2011/10/20)




初めて、コスモス軍全員を登場させました!
名前だけの人もいますが、セリフ付きのジェクトは初書きです。

きっと大人のジェクトは、ラグヴァンできてるの分かってるだろうな〜と言う見解で、あんな感じに^^


ラグヴァンの喧嘩のきっかけは、ゲームのラグナの章の二人のセリフから取りました。
ラグナの「墜落しないでくれよ」に、ヴァンが何の返しもしなかったのが、私的には物足りなかったので。
こんな風に、喧嘩した後いちゃいちゃしてればイイな♪という妄想ですvv


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