DDFFの篭

□DDFF発売前のSS
2ページ/2ページ



** いつでも一緒 **


「バ、バ、バ、バルフレア〜!」
慌てて部屋に飛び込んできたヴァンは、ガツンと思いっきりゲンコツをくらった。
「いった〜!」
「アホ!バを繰り返すな!なんか違うもんに聞こえるだろうが!」
不機嫌を絵に描いたような顔で、バルフレアが睨む。
ヴァンは痛む頭をさすりながら、涙目で言った。
「だ、だ、だって!」
「なんだ、お前舌足らずのうえに、吃音か?舌の廻りが良くなる様に、俺様がメンテナンスしてやろうか?」
ニヤリと笑って伸びてきたバルフレアの手を、ヴァンは思いっきりパシっと叩いた。
「聞けよ、大変なんだって!」
「なんだよ?お前の大変はあてにならないけどな。」
バルフレアは、叩かれた手を恨めしそうに撫でた。
「オレさ、また旅に出ることになった!」
「はいはい。何泊だ?ビュエルバか?バーフォンハイムか?」
「違うよ。ディシディア012に出るんだ!オレ、主人公だから!」
「はーーっ?!」
「すごいだろー?」
「いや、ちょっと待て!誰が主人公だって?」
「オレだよ!FF12を代表して、がんばってくるね!」
得意げなヴァンに、焦るバルフレア。
「いやいや、ちょっとおかしいだろ?主人公は俺様だろうが。」
「RWの時、あんた引退って言ってたじゃん。」
「え?そうだったか?」
「そうだよ。あんたの分まで、がんばってくるから任して!」


ニコニコ笑うヴァンとは対照的に、引きつるバルフレアの顔。
何か言おうと口を開いたがつぐみ、やがて、ほおっと大きな溜め息をひとつ付いた。
「そっか。じゃ、がんばってこい。」
大きな手をヴァンの頭にのせて、ぽんぽんと軽く叩く。
その手を照れくさそうに受けたヴァンは、少し頬を赤らめながら言った。
「でさ、あんたにお願いあるんだけど、いいかな?」
「なんだ?一緒についてきて―――か?」
「違うよ!」
バルフレアのからかいに、たちまち口を尖らせたヴァンだったが、すぐにきまり悪そうに下を向いた。
「あ、いや、ついてきてって訳じゃないんだけど。あんたのもの、なんか貸してほしいなぁ・・・って。」
「あ?」
「だから。なんか、あんたのもの持ってたら、いつでも一緒な気がするだろ?」
頬を染めて、恥ずかしげにヴァンは言った。
「お前・・・!」
バルフレアは堪らず、ヴァンを抱き寄せた。
赤くなった耳に唇を寄せて、楽しげに笑いながら囁く。
「んな、可愛いこと言われたら、ほんとについて行きたくなっちまうな。だけど、お前の旅だから、な。」
バルフレアは、指のリングをひとつ抜いた。
自分の瞳と同じヘーゼルグリーンのリング。それを、ヴァンの左手の薬指にはめた。
「貸すだけだからな。ちゃんと、俺に返しに戻ってくるんだぞ。」
「うん。わかった。」
ヴァンは頷きながら、嬉しそうにその指輪を撫でた。
そんなヴァンを、バルフレアはもう一度、ぎゅっと強く抱き寄せた。



〜FIN〜


(2011/3/1)
*発売2日前に、本館ブログが10000HITS達成し、そのお礼SSで書いたもの。



.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ