ラビリンスの篭(DDFF)

□Labyrinth 出逢いの回廊
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Labyrinth



【 出逢いの回廊 】


沈み始めた夕陽の中、静かに舞うユウナの手にした杖が、美しく輝いた。
ひらりと袖が翻るたびに、かすかな衣擦れが聞こえるだけの静寂の中で、無心にユウナは踊っていた。
そして、その様子を少し離れた所から、ヴァンとティファは見ていた。
「綺麗だな。」
ポツリとヴァンがつぶやく。
「うん。綺麗で、哀しい舞だね。」
頷きながら、ティファも小さな声でつぶやいた。

やがてユウナは、杖を胸の前にかまえ深々とお辞儀をして、踊りを終えた。
そして静かに顔を上げると、照れたような笑顔を浮かべながら、ヴァンとティファの方へ走り寄って来た。
二人は拍手をしながら、笑顔でユウナを迎え入れた。
「素敵だったよ、ユウナ。」
「踊り、うまいんだな。」
「ありがとう。なんか、恥ずかしいな。」
ユウナはティファの隣に座ると、ほんのり頬を赤らめた。
「オレ達見てて良かったか?気になんなかった?」
「うん、大丈夫だよ。平気ッス。」
そのユウナの言い方に、ヴァンは可笑しそうに言った。
「ユウナって、よく『〜ッス』って使うよな。それ、口癖か?」
「うん、そうだね。うつっちゃった。」
「うつったって、あの例の彼?」
「うん・・・。」
少し寂しそうな笑みを浮かべて頷いたユウナに、ヴァンとティファは顔を見合わせた。


カオスの戦士であったユウナの想い人は、記憶がないままにユウナをかばい倒れた。そして、ジェクトの力を譲り受けて消滅を免れた。
今は静かに、この聖域の近くの安全な場所で眠っている。


「ごめん、余計なこと聞いた。」
小さな子供のようにペコリと頭を下げた二人に、ユウナは慌てて手を振った。
「いやだ、やめて。私、気にしてないよ。それに、」
恐る恐る顔を上げたヴァンとティファに、ユウナは柔らかな表情で言った。
「また、彼に逢えた。それで、幸せ。」
夕日を浴びたそのユウナの笑顔は、穏かで美しかった。
「ああー!なんか、のろけられてる?オレら。」
ヴァンが大袈裟に顔をしかめて言った。
「ホントだ!のろけられてるー!」
ティファも、はしゃいだ声でヴァンに同調した。
「もう、二人とも!」
ユウナも明るい顔になって、二人を軽くぶつ真似をした。
「さあ、みんなのとこへ帰ろう。オレ、腹へった。」
ヴァンが立ち上がって、お腹を押さえながら言うと、ティファが可笑しそうに言った。
「ヴァンの『腹へった』も、口癖だよね。」
「あれ?そうかー?」
「そうッス!口癖ッス。」
「ほら、ユウナもまた二回も!」
「あ!」
ユウナが思わず口を押さえ、それを見てヴァンとティファが笑った。
静かに沈む夕陽の中、三人は楽しげに笑いながら、皆の元へと歩き出した。



〜FIN〜


(2011/6/9)




出逢い・・・と言えば、やっぱり「ティユウ」だな〜と思います。
]-2のラストの「きっかけは、キミの映ったスフィア」って言うフレーズが大好きでしたv ティーダに逢いたくて、ユウナはビサイド飛び出したんだもんね〜。

それと、私の中では、ユウナとティファは親友っていう設定です。
ヴァンは、二人のやんちゃな弟って感じ。フツーに、二人のガールズトークにも混ざってそう(^^;)

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