DDFFの篭

□Happy Halloween!
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* Happy Halloween! *



「はい、みんな注目!」
劇場艇プリマビスタで移動中、みんなを甲板に集めると、ジタンがパンパンと手を打って得意そうに話し出した。
「今日はなんの日か知ってるヤツいるか?」
その問いにバッツが小首を傾げて言った。
「なんの日?ジタンの誕生日とか言うんじゃないだろうな。」
その答えに、ジタンは腕で大きくバツを作って首を振った。
「それもめでたい日だけど、不正解!」
すると、めでたいと聞いてヴァンが勢いよく手を上げて答えた。
「分かった!ラグナが道に迷った百回記念日だろ?」
「ヴァン、それめでたくないから。」
冷静にツッコむティファに、ヴァンは不思議そうに言った。
「そうか?このプリマビスタに来るにも三回迷ったんだぞ。ライトが『めでたいヤツだ』って言ってたじゃないか。」
「それは、『めでたい』違いッス。」
ユウナが明るく訂正する横で、当のラグナはガックリと肩を落とした。
すると、いつもは寡黙なカインが悪戯っぽく笑いながら言った。
「それなら、ヴァンがライトに百回怒られた記念日も有り得るな?」
此処へ来る道中、ラグナといつものように騒いでいたヴァンは、ライトニングにこっぴどく叱られたのだ。だが、ヴァンは腕を首の後ろで組みながら、平気な顔で言った。
「怒られてるのオレだけじゃないもんね〜。ラグナも・・・、」
そこまで言って、ハッとする。
「ああ!やっぱりラグナじゃないの?道に迷ったのとライトに怒られたのが合わせて百回!」
「ヴァン、いい加減にしろ!私はそんなに怒ったりしてない!」
ライトニングが堪らずそう叫び、ジタンも呆れた顔で首を振った。
「どっちもハズレだ、ヴァン。それに一回でもレディを怒らせた時点で、いい男失格だぜ。」
すると、ライトニングがジタンを睨みつけて言った。
「大体、ジタンが変なことを言いだすからいけないんだろう!さっさと何の日か言え!」
「あ、怒られた。イイ男失格。」
呆れ顔で見守っていたオニオンナイトがつぶやき、その横でスコールが溜め息をついた。
「くだらない・・・。」
どんどん収集がつかなくなる騒ぎに、ジェクトが見かねてジタンに聞いた。
「降参だ、ジタン。何の日か教えてくれ。」
ライトニングに怒鳴られたショックで固まっていたジタンは、気を取り直して頷いた。
「そうだな、どうせみんな分からないだろうな。じゃあ、教えてやるよ。今日は、ハロウィンの日だ!」



得意そうなジタンとは対象的に、聞いたみんなはポカンとした。
それぞれの頭の上には「?」マークが浮かんでいる。
「ハロウィン?なんだそれ?」
思わずそう尋ねたバッツに、フリオニールも同調した。
「まったく聞き覚えがないけど、ジタンの世界のお祭りか何かかい?」
「めでたいって言ってたしね。」
セシルもフリオニールと頷き合う。するとヴァンが嬉しそうにオニオンナイトの肩を叩きながら言った。
「お祭りなら、ごちそう食えるのかな?やったな、ネギ坊主。」
「僕は別に。」
プイと横を向くオニオンとニコニコするヴァンのペアに、スコールがまたボソリとつぶやく。
「食べたいのは、自分の方だろう。」
多少のズレはあるが、やっとみんなが興味を持ち始めた様子にジタンは満足げに微笑んだ。
「そう、ハロウィンはお祭りだ!仮装をして、お菓子をもらいに練り歩くんだ。」
「仮装?」
驚く一同に、ジタンは会心の笑みを浮かべた。
「ここは劇場艇プリマビスタ!衣装なら腐るほどある。みんな好きな衣装に着替えて、一丁盛り上がるとしようぜ!」
「おお、面白そうだな!」
「やろうぜ!」
「うん、ちょっとイイかも。」
賑やか組のヴァンやバッツ、ノリのいいティファやユウナがジタンの勢いにつられて歓声を上げた。それが、他の仲間の溜め息と不平の声を消して、全員参加のハロウィン・パーティーが開かれることになった。




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