秘密の篭(R-18)

□幾つもの夜を越えて
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〜〜 幾つもの夜を越えて 〜〜



ラバナスタ王宮の宝物庫であったくそガキ。
何の因果か、そいつと旅をすることになった。あれよあれよという間に旅の道連れも増え、終わりが見えないまま旅は続く。
しかも一番最悪なのは、この俺様がそのくそガキに惚れてるってことだ。
色男で知られたこのバルフレアが、まったく何てザマだ?
自分のしょっぱさに泣けてくる。
手間暇かけてキスまでは仕込んだが、それから先がなかなか進まない。その上、あのくそガキは天然で誰にでも懐いて笑顔を振りまく。
いい加減イライラした俺は、この際プライドは二の次に、くそガキを押し倒すことにした。


「い・・・今、な・・・んて言った?バルフレア・・・。」
いきなりヴァンはベッドに組み敷かれて、目を白黒させている。
「だから、お前に惚れたからヤラせろ。」
そう言うと俺は、有無を言わさずヴァンの服を剥ぎ取っていった。
「え?え?ちょっと、待って!何、バルフレアはオレのこと好きだって言うの?」
「さっきから、そう言ってるだろうが。」
ヴァンを手早く下着一枚にした俺は、次に自分の服を脱ぎながら言った。
「お前が俺のことを嫌いでもかまわない。俺が惚れたから抱く。―――以上だ。」
サイドテーブルに投げ落とした銃のホルスターが、ガシャリと大きな音を立てた。その音にヴァンはビクリとしながらも、震える小さな声で言った。
「嫌い・・・なんかじゃ・・・ないよ。オレだって・・・あんたのこと、好き・・・だよ。」
その言葉に俺の手が止まる。
「好きって、憧れとかじゃないぞ。お前と寝たいっていう――好きだぞ。」
コクンとヴァンは赤い顔で頷く。
「ヴァン・・・。」
俺はシャツを脱ぎ捨てると、きつくヴァンを抱き締めた。
触れ合った素肌から、柔らかなぬくもりが伝わってくる。そっと、ヴァンの顎をとり、上を向かせると唇を重ねた。
何度も角度を変えて口付けを深くしていく。
「いいんだな?」
唇を触れ合わせたままで囁くと、途端にヴァンは身体を強張らせた。
「ま・・・待って・・・。」
「もう、待てない。」
俺はヴァンをシーツの上に押し倒した。空色の瞳が大きく見開かれる。
そして、泣きそうな声でポツリと言った。
「オ・・・オレ、初めてじゃない・・・んだ。」
「え?」
突然の言葉に時が止まる。
ヴァンは切なそうに顔を背けながら、うめくように言った。
「男同士で、こういう事するの・・・初めてじゃない。もう・・・オレの身体、キレイじゃないんだ・・・。」
きつく閉じた瞼。
噛み締める唇。
震える細い身体。
俺は脱力してヴァンの横にゴロリと寝転んだ。そして、後ろからその身体を抱き締めた。
ヴァンは身体をビクリと震わせながらも、大人しく俺の腕の中に収まっていた。

今までヴァンが俺を拒んできた理由はこれかと思う。
敗戦国のダウンタウン育ちに清い身体を求めた訳じゃないのに。それに自慢じゃないが、俺はコイツの歳には、既に女とも男とも寝ていた。
生活のために身体でも売っていたのか―――と思ったが、そんなスレた感じはヴァンにはない。
と、すれば・・・。
「兄貴とか・・・?」
俺の言葉に、ヴァンの身体が大きく震えた。


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