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□燈る煌き
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チュ…


「…愁生。」


「焔椎真…?」


情事が終わった後の気怠さが残るおれの躯にある火傷に、焔椎真は口づけを落とした


この傷を付けたのは焔椎真


そしてこの傷のせいで随分と遠回りしてきたおれ達


「まだ後悔してるのか?」


「違ぇよ…」


「ならどうしたんだよ?何かあったのか?」


珍しくいつもより弱々しい焔椎真


「愁生…もう二度と死にたいなんて考えるなよ。」


そうか…今度は俺がおまえを不安にさせていたんだな


確かにそんな事を考えた時もあった


でもそれはおまえに必要とされていないと勝手におれが思ってたからだ


「大丈夫だ焔椎真。」


「何が大丈夫だよ…また俺の前から消えるんじゃないだろうな!」


…ちょっと可愛いかもと思ったが、本人に言うとまたヤられるから絶対に言わないでおく


「おれはおまえや、皆に必要とされてるうちはずっと生きている。」


そう言うと焔椎真は鼻で笑って


「俺がおまえを必要としない時なんか一生ねぇよ。」


と言った


その言葉を聞いた俺の躯は震えた


それは歓喜の震えだった


「なら、簡単には死ねないな。」


「勝手に死ぬのは俺がぜってぇ許さねぇから。…俺と生きるんだろ?」


それに…と焔椎真はおれの耳元に口を寄せて囁く


「―――――…」


その言葉は暗いおれを照らす光にも似ていた



…焔椎真は暗いおれに明かりを燈す唯一の煌き…




―End―
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