鳥檻のセレナーデ

□26幕.そして鈴は鳴り
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27★女と
■ SiDE:Tyki ■



 コトコトコ。

  コツコツ。

 トコトコトコ。

  コツコツ。

 トコトコ……。



「ほらティキ! 早く歩いてって!」

「なぁ、やっぱやめね? 俺行きたくないんだけど」



数歩先を歩くイヴへと、溜息交じりの声をかける。
ちなみに今日だけで、しかも歩きだしてから数分と立たずして五回目の同じ台詞。
流石にこれだけ言ってれば返ってくる言葉も分かってはいるんだけど、それでも気が進まなければ足も進まない。



「駄目だってば。千年公に怒られるよ」

「でもさぁ」



急用ができたって事でまた今度に……。や、遅らせた所で結局会うには変わらないのか。何とかして会わずに済む方法とかないのか。



「何をそんなに嫌がってるか知らないけど、嫌なら速い方がいいでしょ!」



うーん。と珍しく……もないけど、頭を悩ませていると、俺の背後へと回り込むイヴ。
相変わらずちょこまかと動いてんな〜。なんて半ば現実逃避している俺を他所に、グイグイと小さな手で背中を押される。



「あーマジでやだ。本当に行きたくない」

「ただの言伝でしょ」



それが"ただの"じゃ済まねぇから嫌なんだよ。大体原因はお前にあるって事を言ってやりたい。声を大にして言ってやりたい。

……まぁ、言っても何も変わんねぇけどさ。


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