鳥檻のセレナーデ

□18幕.ライバルはイーズ?
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18★ライ

回 SiDE:イヴ 回



れはある晴れた日の事。


『うぉぉおおおおっ!!』

「ヒッ!?」


突然、強面の男性二人に絶叫……と言うより、雄叫びを上げられ、私は思わずティキの背後へと隠れてしまった。……こ、怖い。主に顔的な意味で。


「オイオイ、怖がらせんなよなぁ」


私が怯えている事を察し、代わりにティキが前の二人へと声を掛ける。――けれど、ヘラヘラと笑っている為、全く説得力の欠片もない。寧ろ変な眼鏡のせいで逆に笑ってしまいそうだ。勿論私が。


「まじでこんな美少女と知り合いなのかよ!?」

「かーっ、俺達に黙って一人だけ美味しい想いしやがって!!」


ティキに注意されてると言うのに、何故か声を張り上げて笑う二人。ティキと言いスキンと言い、男の人の考えはよく分からない。

けど多分、この二人がティキの話によく出てくる「イーズ達」という仲間なんだろう。いや、仲間というより、"白"の時の家族だって言ってたっけ。
私にとって家族というのは、過保護なまでに心配する人達……なんだけど。


「いや〜ハッハ……って、ちょっ痛。いや、マジデ痛いんだけど、本気でやってない?」


彼等の場合は違うのか、笑いながらティキの首を絞めたり、頭やお腹を殴っていた。音が若干……や、カナリ本気っぽい気がするけど、これが彼等の挨拶なのかな。……やっぱり男の人って分からない。

――あ、ちなみに私は、"ごろつきに絡まれていた所を、偶然たまたま散歩中だったティキに助けられた紹介屋の娘"という設定なのだとか。

紹介屋というのは、その名の通り仕事を紹介する人達の事。助けて貰ったお礼として、鉱山の働き口を紹介し、そこまで案内中――という筋書きらしい。まぁ実際は、千年公の伝で紹介して貰った場所なんだけど。

色々と突っ込み所満載だし、信じてくれるかどうか少し不安だった……んだけど、意外にも彼等はすんなり信じてくれた。どうやらティキの言っていた通り、気さくでいい人達みたいだ。……顔と挨拶の仕方は怖いけど。


「ほら、イーズも挨拶しな」


ティキの背後に隠れながらやり取りを見ていると、男の人達の背後に小さな男の子が隠れている事に気がついた。

まだ十歳位、かな。何となく病弱に見えるのは、口のマスクと白い肌のせかもしれない。それでも、ふわふわの髪に、子供特有の大きな瞳。それでいて物陰から覗き見るような態勢。……か、可愛い……っ!


「……」


抱きつきたい衝動に駆られるものの、イーズからは返答もなければ、反応すら返って来ない。多分、雰囲気からして警戒しているんだと思う。当然と言えば当然だよね。行き成り見ず知らずの人を紹介されても、直ぐには心を開けないもの。うん、ここは私から声をかけて警戒をとかなければ!


「えっと……私はイヴ。よろしくね、イーズ」

「……」


ティキの背後から一歩前へと踏み出ては、落ち着いた声でイーズへと手を差し伸べる。
やっぱりイーズは警戒している事で手を差しだしてくれなかったけど、それでも笑顔で待ち続けた。

仲良くなるには根気が必要って、本にも書いてあったし! ……犬の躾けって言う本だったけど。



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