書棚

□五話.夜の玩具遊び
1ページ/2ページ


カイトを先に部屋に行かせた蘭はわざとゆっくりとコーヒーを淹れた。
足音を立てずに階段を上がり、自室のドアを開ける。
「明かりもつけずにどうしたんだ?」
「はぁ……マス、ター……」
泣きそうな声をあげるカイトに背を向け、机にコーヒーを置く。
ポケットから出したのは片手に納まるリモコン。
半透明のブルーのカバーは中の配線と単三電池が見える。
OFFとMAXの真ん中辺りにあるスイッチを一気にMAXまで上げる。
「ふ、あぁああ!」
ベッドに座って壁に背を預けていたカイトが身体を震わせる。
そのまま身を捩るようにベッドに倒れこんだ。
シーツを掴み耐えるように目を閉じている。
「新しいパーツが馴染んでない、言いえて妙だよな」
ニヤニヤと笑いながら問い掛けても苦しげな喘ぎしか返ってこない。
「あ、あっ……や、イヤですっま、すた……」
「…………」
蘭は手の中のリモコンを一瞥し、電源を切る。
嫌だと言った本人は薄く目を開き、膝をすりあわせる。
「マスター……」
「おまえが嫌だって言ったんだろ」
「マスターは、意地悪です!」
「そりゃどうも」
コーヒーを一口飲み、カイトを見る。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ