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□四話.流の部屋で
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風呂も夕飯も済ませて部屋に戻った。
風呂でわかったこと、最新の防水包帯って本当にすごい。
夕飯でわかったこと、帯人は辛いものと苦いものが嫌いで小食。
まだまだ知らないこと多いんだな。
ボーカロイドについてじゃなく、帯人のこと。
「帯人?」
「はいマスター」
抱き抱えたまま自室に戻ってきて、そのままの体勢でソファに座っている。
流は首に腕を回してしがみ付いた帯人に話し掛ける。
話し掛けただけで花を綻ばせるように笑顔を浮かべる帯人は、オリジナルのカイトより幼く見えた。
「えっと……ごめんな、服デカくて」
「いいんです、マスターの服ですから」
「……」
それはいいのか?なんて訊けず、ベッドに腰掛けて別の質問を投げ掛けた。
「足無いと不便だろ?明日直してくれるトコ探すから」
「あ……はい……」
直したほうがいいだろうに、帯人は俯いてしまった。
「どうした?」
「いえ、あの」
「言って?なんでもいいから」
髪を撫でて優しく訊いてみた。
帯人は怖ず怖ずと顔を上げ、小さく呟く。




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