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□二話.隣家の理解者
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――ピピピンポーン

いつの間にか決まった合図。
玄関のチャイムを三回連打すれば、人間ではないこの家の住民がドアを開ける。
レンは自然な流れのように侍然とした青年に飛び付く。
青年――がくぽも慣れた様子でレンの金髪を撫でる。
「また来たのかレン……今度はどうした?女装させられそうになったか?マスター殿の薄い本作りの手伝いをさせられたか?」
「今日は違ッ!あにーさんが帯人を拾ってきてミク姉とリンがイチャイチャしてマスターがまた同人誌描きだして!」
「お、落ち着けレン……さ、我の部屋へ……」
「……うん、ごめん」
玄関から和室へ向かう途中がくぽのマスターが意味ありげな笑みを浮かべていた。
「レン君また苛められた?」
込み上げる笑みを堪えるようにがくぽのマスターは二階へ上がった。
その笑みに自分のマスターと似た何かを感じたレンだが、今はがくぽに慰めてもらいたい。
手を引かれ、和室に入ると安心した。
がくぽの部屋、空気に匂いに雰囲気に、がくぽを感じられる部屋。
それでも、放された手が寂しかった理由はレンにはわからなかった。




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