short 1
□運命の瞬間 (赤×黄)
1ページ/5ページ
未だになれない、ダブルベッドの広さ。
マジで笑えて来る。
君が、「さよなら」と言って、
いくつ夜を数えただろうか。
「いただきます…」
笑いながらも『はい』とか、言ってくれる人、
誰ひとりとして居なくて。
毎朝、朝食が上手く喉を通らない。
君が居た時は、あんなに美味かったのに。
「何なんだよ…もう…」
君が居ない。
それだけで悲しくなる俺に、無性にイライラして。
「…………忘れなきゃ。」
サッとスーツのジャケットを羽織り、
俺の靴しか並んでいない玄関を、
飛ぶように抜けて行った。