01/18の日記

21:08
虜・ココマ
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(タクシー運ちゃんココさん×客小松)

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「こんばんは。お客さん、どちらまで?」

「竹橋の交差点までお願いします」

「かしこまりました」


彼はそれだけ告げると、すぐに窓の外に目を遣った。
それを気には留めず、ゆるやかにアクセルを踏みながら、ミラー越しに乗せた客の顔を確認する。その横顔に、何処か見覚えがあるような気がして、僕は首を傾げた。

確か…以前にも、彼を乗せたことがある。
自慢ではないが、一度乗せた客の顔はよく覚えている方だという自負がある。
一ヶ月位前だったか、確か同じようにしてこの辺りで彼を拾い、そして同じように彼から行き先を聞いて車を走らせたように感じる。
行先は、同じく竹橋の交差点だった。

再度ミラーに目を遣ると、彼は窓に凭れるようにして頭を預け、目を閉じていた。眠ったのだろうか。
順調に行けば、あと20分程で目的地に到着する。
きっと疲れているのだろう、せめて眠りを妨げることのないように、僕はなるべくカーブの少ない道を選んで、車を走らせた。



「──お客さん、着きましたよ?」

ハザードを点灯させ、静かにサイドブレーキをかけると、僕は後部座席の眠り人に声をかけた。
反応がない所を見ると、かなりお疲れモードでぐっすりと眠りに入っているようだ。
僕は溜め息をつくと、シートベルトを外し、身を捩って斜め後方に手を伸ばす。
その肩を少し揺さぶると、う〜ん、と声が聞こえた。そして暫し目を瞬かせると、我に返ったように飛び起き、身支度を整え始めた。


「あっ!すいません、ありがとうございました!!お幾らですか?」


彼は鞄の中を探って財布を取り出す。料金を告げると、千円札を三枚取り出し、慌ただしく支払いを終えて車から出て行った。


いつもなら、またすぐに客を拾うため発車する所だけど、今日は彼の行く先が少し気になって。
ハザードを照らしたまま、彼の後ろ姿を眺めてみた。
もう終電もとうに終わった時刻。彼はこの辺りに住んでいるのだろうか……

と、思いを巡らせていると、その小さな背中は、目の前の大きな建物に急ぎ足で駆け込んで行く。
そこは、この国で知らない者はいないレベルの、非常に有名な大手新聞社の本社ビルだった。


へえ…じゃあ記者さんかな?こんな遅い時間まで、大したもんだな。
自分も、昼夜問わずシフトが入る業種ではあるが、彼はそれこそシフト制なんかじゃない、朝からこの時間まで働き通しに違いない。それだけ過酷な仕事だという(まあこれは外からの勝手な、)イメージだけれど、強ち間違いではないはずだ。

あんなナリで、記者さんなんてね。
客に興味をそそられたのは、随分久し振りだ。

ああ、早くまた君を乗せたくなってきた。
次に会ったら何て言葉をかけようか。
お疲れさま、もいいけれど、そのときは迷うことなく、この名刺を渡そう。勿論裏には自分のアドレスも書いて、ね。




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という、タクシー運ちゃんココさん×お客さん(新聞記者)小松くんなココマがおいしいみたいですよ。
そんで、ココさんまたこまつを拾えばいいじゃない。
そこから始まる恋模様。おいしいねー!!!
タクシー運ちゃんなココさんは、たまに変な客(美容アドバイザーなサニさんとか、音響研究所のゼブたんとか)乗せたりすればいいよ、そんなん俺得。

ネタ元のハルコ御大に今日も感謝をこめて、あげます!!www

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