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ダラーズというのは、7年ほど前、俺が小学生だった時から存在した組織だ。
その組織は無色透明のカラーギャングとされ、ネット上、そして池袋中で有名だった。有名とされる理由としては様々なものがあるが、まずその組織のメンバーの数の多さであり、老若男女、様々な人間がダラーズであったということ。そして、もう一つの理由は上が見えないこと。ダラーズのメンバーで、リーダーとなる人物、即ち創始者を知っている者は誰もいなかったということだ。
ダラーズがその存在を無くしたのは、4、5年ほど前のことらしい。
いや、無くしたというのには語弊がある。
今でも池袋の奥底で存在し続けているのだ、その組織は。
そしてダラーズの創始者が、今俺が通っている来良学園にいるという噂がある。
(これは本当に噂の域を脱しないけれど)
興味を持った。
そんなおかしな組織を作った人物がどんな人間なのか。
俺が調べて分かっていることは2つ、
その人物は、昔この学園の生徒だったらしいということ。
そして今現在来良学園で働いている卒業生はたった3人であるということ。
紀田正臣
園原杏里
竜ヶ峰帝人
紀田正臣と園原杏里、この二人には別の件で気になるものはあったが、ダラーズに関わる情報は得られなかった。
残る竜ヶ峰帝人はごく有りふれた普通の一般人という感じであり、この件に関しては一番遠い様に感じられた。が、こういう人間に限ってとんでもないことをやることもある。だから人間は面白いのだけれど。
それでも何かしら引っ掛かりが出てくるだろうと思っていたが、噂は噂に過ぎなかったということか
余りに情報が少なすぎて、俺は半分諦めかけていた。
その時だ
あの筋肉馬鹿が図書室に頻繁に通うようになったのは。
ドタチンの話によると、図書室の教師と仲良くなったらしい。
図書室にいる教師といえばそれは司書である竜ヶ峰帝人だ。
単なる興味本位の面白半分だった。
(シズちゃんと仲良く出来るような人間が居たとはね)
俺は今図書室の扉の前にいる。少なくとも今の俺には良い暇潰しのネタだったのだ。それくらいのこととしか考えていなかった。