拍手文--

□最後は素直に
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それは僕が学校から帰って来てからすぐのことだった


「もしもし」

『なんで電話をかけるときにもしもしって言うか知ってる?最も信憑性の高い説ではね、「これから話をします」という意味で「申す申す」と話しかけたのが「もしもし」に変わったというらしいんだけど…』
「うんちくは良いですから何の用ですか?」

『帝人君つれなーい』

くすくすと電話越しに聞こえる声にイライラた僕は「用がないなら切ります」と受話器から耳を離そうとすると『まってまって!』とさも慌てたような声が聞こえてきた

「用事があるなら早く言ってください」

『まあまあ、急かさないでよ』

別に急かしているわけではない。ただ、ものすごくイラついているのだ。何の気もなしに電話をかけていた臨也さんに。



ほんの数日前、僕と臨也さんは喧嘩をした。理由はたわいもない些細なことだけれど。

だからその時から今まで連絡は一切来なかったし、僕もしなかった。
それなのに、今、突然あちらから電話がかかってきた。
心の準備ができていなかった僕は通話ボタンを押すのに少しばかり時間がかかった。

喧嘩をした理由はホントに馬鹿げていることであって、どちらが悪いとも悪くないとも言えないような喧嘩で、僕だって少しは反省していたのだ。だから相手が謝ってきたら自分も素直に謝ろうと思って覚悟を決めて電話を取った。なのに
それ越しに聞こえてきた声は、さも数日前のことは何もなかったかのような様子だった

(それはそれでむかつく)

自分の思考が子供だということは分かっている。こっちから謝ればいいものなのにそれをしないのはそういうわけで、まだ大人になれない自分にもいらいらする

そんな僕の心情を知ってか知らずか、臨也さんはやっと本題を話し出した

『それでね帝人君。…今から会いに行ってもいいかな』

「は…」

それは謝りにくるということだろうか

そう思ったら些かイライラした気持ちも落ち着いてくる

「…別に、いいですけど、臨也さんが前もって連絡くれるなんて珍しいですね。いつもなら勝手に入ってくるのに」

『まあ、ね。帝人君さ。今一人?』

「そうですけど。なんですか?」

不可解なことを言ってくるのはいつものことだけれど、なんだろう。不安げに聞こえる受話器の声がこちらにも移ってきそうだった

『ほんとうに、ひとり?』

なんなんだ

「ひとりですってば…」

『窓とか、開いてたりしない?』

「…っ」

どきりとした

帰ってきてすぐに電話がかかってきたので気付かなかったが、確かに窓が開いていて、肌寒い秋風が部屋の中に吹きこんでいた

(まさか)

『泥棒が入りこんで、どこかに隠れてるかもしれないよ?』

その言葉に僕は瞬時に動いた

この狭い部屋に隠れる場所なんてたかが知れている。押し入れ、風呂場、と順に開けていく。
残るは―


僕はゆっくりと深呼吸をしてトイレのドアを開けた









「やあ帝人君」

「やっぱり…」

視界に入りこんできたのは、いつもどうり真っ黒な服を着て、今まで僕と交わしていた携帯電話を持っていて、
そして、トイレの便器に座った臨也さんだった

「変態ですか、いや変態でしたね」

「ひっどいなぁ」

なぜこんなところに居る。しかもトイレに。

「何しに来たんですか」

「うん。ちょっとからかいに来たのと、謝りに来た」

「…?からか…え?」

どういうことだと言わんばかりの表情でもしてしまったんだろう。僕の言葉に彼はすぐ答えを言った

「この間の、喧嘩について謝りにきた。からかいに来たのは帝人君も数日間何もしてこなかったからその報復」

なんだ。なんなんだ

やっぱりこういう時、彼はひどく大人に見えた

「…いざやさん」

「うん、ごめんね。帝人君」

「っふ、トイレで言われても…」

「じゃあ、外に出ようか」

そう言って臨也さんはそこから出るなり僕を抱きしめた

「じゃああらためて。ごめんね、帝人君」

「僕も、すいませんでした、臨也さん」
















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やっつけ文になってしまったような
緊張感が感じられないのはたぶんトイレだからですね
てかトイレて。自分で何書いてんだろうなぁ、とか思いました。

ホントは臨也さん、帝人君が帰ってくるまで部屋でどうやって謝るか延々と考えてて、そうしている間に帝人君が帰って来るのが窓から見えて、すかさず隠れた場所がトイレだったと。そうだったら少しは変態に見えなくなりますかね。あ、でもそしたらヘタレになっちゃいますね(汗)

こんなのが拍手で実にすみません

あ、最初の方に書いた電話の話は辞書に載ってたことです。まあこれは有名な話ですかね

ありがとうございました!

何かありましたらどうぞ!

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