短編

□ただ、巻き込まれただけ
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竜ヶ峰帝人は俺にだけ異常に冷たすぎると思う








帝人君がいつも友達に向けるような笑顔を俺には向けてくれたことが無いし、
帝人君の口から出て来る言葉はいつも辛辣でいくら俺でも傷付くし、
家に行ったらボールペンで刺されそうになるし(結構恐かった)









「ねえ、なんでだと思う?新羅。」
「それは、


(単純に臨也が嫌いなだけなんじゃ…)

新羅はそう言いそうになるが途中でやめる。
そんなこといったら、この男が帝人に何をしでかすかわかったもんじゃないからだ。
というかそこまでされたら普通自分で気付くもんじゃないだろうか。


「おい、聞いてるのか」
「え、ああ、聞いてるよ」
「こっちは真面目に相談してるんだからな。」

臨也が真面目に相談なんて薄ら寒すぎて鳥肌がたったが、そんなことをいうとこっちが被害を被るので黙って聞くことにする新羅。


「でもたまーーーに優しい時もあってさ、怪我してると手当てしてくれるし、たまにメール返してくれるし、
ああそうだ、メールで愛してるって言ったら、次会った時に変なメールすんなって怒られたっけ。怒った時に頬膨らませてたのはかわいかったなぁ。」

最後のはなんか違う気がするが取り敢えずスルー。
帝人君も嫌いならもう全てにおいて冷たく扱えば良いのにと思ったが、あの優しい少年にはそれができないのだろう。だからこのような男に付き纏われてしまうのだ。


「ねえ、俺はどうすればいいと思う?」

(僕にどう答えろと!)

臨也が帝人君に好かれたいなら、その性格を改めるしかないと思うが、根本的に言ってそれは無理だ。
かといって帝人君から手を引けと言ったってこの男は引かないだろう。

何を言えば良いのかわからず黙っていると、臨也はソファーの上で両膝を抱えて疼くまり始めた。
誰だこいつ。

いよいようざくなってきた、と新羅が頭を抱えそうになった時、携帯のバイブがなった。
携帯を開てメールの中身を見るとそれは今話題に出ている人物。

(これは、え…もしかして、)

新羅は内容を見て、少し考えてから臨也に質問する。

「臨也さ。最近帝人君と会ってる?」

臨也は膝を抱えたまま顔を上げて質問に答えた。

「会ってないよ。
押してもダメなら引いてみようと思って2週間ほど。もう死にそうなんだけど。
でも、帝人君からはなんのアクションもなくてよけいへこんだ。」

成る程。これで納得した。新羅は満面の笑みで臨也を呼ぶ。

「臨也。」
「なに…気持ち悪いないきなり。」
「ここでもう少し待ってれば良いことが起きるかもよ。」
「は?それ、てどういう…」


ピンポーン


臨也が言い掛けた所でチャイムが鳴る。
はいはーい、と新羅がドアを開けに行った直後、ドタドタと足音が響いた。

臨也は、まさか怪力馬鹿がきたのかと思い軽く身構える。
だが、その予想は大きくはずれていた。

「臨也さん!!」

「…帝人君?」

予想外の来訪者に臨也はひどく驚いた。
帝人はひどくあわてた様子で、走ってきたのか息も荒い。

「け、怪我は大丈夫なんですか?」
「…怪我?何のこと?」


不可解な事を聞かれて怪訝な顔をする臨也。それは帝人も同じだった。

「え、だって…ここ最近臨也さんの姿見てなかったし、それで、新羅さんの所にいる、て聞いて、もしかして、何か怪我したんじゃ、ないかって…あれ?」

まだ息が落ち着かないのか、途切れ途切れに吐いた言葉に臨也は目を丸くした。

「それって…心配してくれた、てこと?」

「は?
…ばっ、違いますよ!ただ、えー…
…あーもう、無駄な時間つかっちゃった…
僕帰ります!」

「ちょっ、帝人君待って!」

さっきまでの落ち込みなど無かったかのように元気になった臨也は帝人を引き止めるようにして抱きついた。帝人はそんなの気にしていないように玄関の方に向かおうとする。

「放してください!」

「あー久しぶりの帝人君だー…可愛い」

「…あーもー!そういう恥ずかしいこと言わないでください!」



バカップル…

二人の様子を離れてみていた新羅はふとそんなことを思った。自分は今や完璧に蚊帳の外だ。

(セルティ、まだ帰ってこないかな…)


愛しい恋人が帰ってきたら、目の前でイチャつくカップルを追い出して思いっきりイチャイチャしてやろうと心に決めた新羅だった。







――――――――
バカップル書きたかったんです。これバカップルでいいのか不安ですけども

ただの被害者新羅さん

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