短編

□朝の日曜風景
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日曜の早朝。
頬をぺちぺちとたたかれる感触で起こされた。

視界には、真っ黒な服。

「臨也さん?」
「おはよー帝人君」
「朝っぱらからなんですか」
「1週間ぶりなのにそれ?」

そうだ。
今まで毎日のように僕の前に現われていたこの人が、1週間ほど前から姿を見せずにいた。
そのおかげで僕は平穏な毎日を過ごせていたのだが。
ただ、臨也さんがいないのには少しばかり気にはなっていた。ほんのすこしだけど。

「そういえば何してたんですか?この1週間」
「何々?もしかして心配してくれてた?」
「まさか。寝言はしんでからにしてください。」
「しんだら寝言なんていえないからね!
まあ、ちょっと手間のかかる仕事がつまっちゃってさー。」


ああそうか、この人一応社会人だった。


「仕事、してるんですね。」
「当たり前でしょ。
ホントはまだ残ってたんだけど、帝人君不足で死んじゃいそうだったから波江に押し付けてきちゃった。」
「前言撤回。仕事してください。波江さんがかわいそうです。」
「あは、まあぶっちゃけうざいって言われて追い出されたんだけど」


…苦労してるなぁ、あの人。
僕は、今一人で仕事をしている波江さんにひどく同情した。

そして僕は再び布団に潜る。


「あれ、寝ちゃうの?」
「日曜なのに朝6時に起きるとかマジないです。」
「じゃあ俺も一緒に寝ようかな」
「勝手にしてください
でも臨也さんは畳の上でお願いします。」
「寝るのはいいんだ?」
「…いいですよ、もう。
どうせ最近ろくに寝てなかったんでしょ。」

「…」

「目のしたに思いっきりくまがありますよ。よくそんな状態ここまでこれましたね…て、うわあっ」


臨也さんが突然僕の布団にダイブしてきた。

「いきなり何するんですか、てもう寝てるし!」

どんだけ寝てなかったんだか。臨也さんはすでに静かに寝息を立てている。しかも、僕の腰にさりげなく腕を回して。

逃げられなくなった僕は、もう諦めて目蓋を閉じた。





結局お昼まで僕は寝てしまって、先に起きた臨也さんに叩き起こされた。









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