短編

□なれない優しさ
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くそ…!また殺し損ねた!





ついさっきのことだ。
なぜか最近また池袋に顔を出すようになったノミ蠧を追い掛けていたら横から来たトラックにぶつかった。(デジャブか?)

まあもちろん平気なわけだが。
ぶつかった拍子に腕を少し切ったらしく、血が結構でたので一応新羅の家で見てもらうことにした。


んで、俺は新羅の家に来たのだが、

そこには、ええっと、竜ヶ峰、だっけか、そいつがいた

「静雄、さん!?どうしたんですか!それ!」

新羅はいつものことだからさほど驚いていなかったが、
竜ヶ峰はかなり驚いた顔をして俺をみた
逆に俺は竜ヶ峰をみておどろいたんだが。だって手やら足やらに包帯を巻かれていて痛々しい。


「静雄。ちょっとそこ座ってて。帝人君のほうを先にやらないといけないから。」

そう新羅にうながされて、俺はソファーに座っている竜ヶ峰の隣に座る。

「新羅さん。僕はもう大丈夫なので、静雄さんを先に手当てしてください。」
「あ、いや、俺は大丈夫だから」
「そうだよ帝人君。静雄のこと心配しても無駄だ…ぐほぉ!」

自分ではそういったものの、新羅に言われると腹が立つので少しばかり頭を小突いてやった。
新羅は軽く吹っ飛んだが。

「でも、こんなに血、でてるし…」
「いや、大したことねぇし」
「は!?いやいやいや!ありまくりますよ!大したことないって量じゃないし!真っ赤ですよ!!静雄さん自身はだいじょぶかもしれませんが見てるこっちが心配になるんでやめてください!
…ちょっと新羅さん起きてくださいよ!ってだいじょぶですか!?」


竜ヶ峰は俺に向かってそう言い放った後、今度はぶっ飛んだ勢いで軽く気絶している新羅を心配した。




それで、えっと、なんか驚いたっつうか新鮮な気分だった。

たぶん、今まで心配されることとか少なかったからだと思う。




竜ヶ峰が新羅の肩をぐらぐらと揺らして起こそうとしている間、俺は半ば放心状態でそれを見ていた。

あ、と、そういえば…


「そういえばお前それどうしたんだ?」

「新羅さ…!っと、何がですか?」
「ケガ。」
「怪我?
…ああ!え、っと、これはですね…」
「帝人君。カツアゲされそうになってたんだよ」
「カツアゲ?」


竜ヶ峰が「ちょっと新羅さん!」と言って止めに入ってたが、そんなのかまわずに新羅は続ける。ていうかいつ起きたんだお前は。


「そう。カツアゲ。
そこに偶然!僕の愛しい愛しいセルティが居合わせて、帝人君を助けたってわけさ!
結構怪我してたからウチにきてもらって手当てして今に至るってこと。ちなみに僕の愛するかわいいセルティは仕事に行っちゃったよ!」



俺は最後の方は聞き流して、竜ヶ峰の方をみた。

視線に気付いた竜ヶ峰は、気まずそうに視線を逸らしながら言った。


「あはは、カツアゲしやすいと思ったんでしょうね。
僕体力ないんで…逃げることも対抗する事もできなくて、セルティさんが来てくれて助かりました。」
「ああ、お前小さいしな」


なんかその辺歩いてたら連れ去られちまうんじゃないか?あれ、なんか違うか。

「ちいさっ…そうですね…
はぁ…
僕、静雄さんみたいになりたかったなぁ。」

「は??」

聞き慣れない言葉に素っ頓狂な声をあげてしまった。

「帝人君?
静雄みたいになりたい、てなんでそんな考えに至ったの?」

動揺して俺は何も言えなかったが、その代わりに新羅が疑問を言った。
それに竜ヶ峰がすんなりと答える。

「え?だって静雄さん、背高いしかっこいいじゃないですか。
しかも強いしスタイルいいし、背、高いし…」
「帝人君…そんなに背丈気にしてたんだ。
ていうか、静雄のことべた褒めだね」
「…っえ!ああぁ!すいませ、えと、あの、ホント、憧れ、ていうか!」
「あはは、そんな動揺しなくても。ねえ、静…
、て静雄?」


俺はその時の記憶はないが、後で新羅がいうには目を見開いて数分間止まっていたらしい



「あの、…
すいません。気を悪くしました、よね」

心配そうに言った竜ヶ峰の声に目を覚ましたが、その後何を言えば良いのかわからなくて、でもこのままでは誤解されたままになってしまうと思う、んだが、あーもうどうすればいい!


「あの、静雄さ…っわぁ!」

俺は考えるのは得意じゃない。だから取り敢えず励まそうと思い竜ヶ峰の頭に手をおいて、わしゃわしゃと撫でた。

竜ヶ峰がなにがなんだかわからないという様子で俺を見上げてくる。その様子がなんか小動物みたいだった。

この撫で心地、くせになりそうだった。


「静雄!?いつまでやってるの!」


新羅の声にはっとした俺は、すぐに竜ヶ峰の頭から手を離す。一体どんくらいやってたんだ俺は。

やりすぎたせいか、竜ヶ峰は少し頭をふらふらさせていた。

「あーすまん、竜ヶ峰」
「いえ…だいじょぶです。
あの、静雄さん。ありがとうございます。」




…んー…?
なんで感謝された。
今度は俺がわけがわからなくて首をかしげた。

そんな俺をみて竜ヶ峰はふっと柔らかく笑って





「静雄さんって優しいんですね。」





そう言った。








(今日は、不思議なことばっかだった)







―――――――
静帝、というか静+帝になってしまった。
これから発展してくんです。
静雄さん、キャラ違いすぎです。
それにしても、帝人君の頭は絶対わしゃわしゃしたくなると思う。
これ重要。

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