短編

□さあ、手を取って行きましょう
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学校の帰り。今日は正臣も園原さんも用事があって先に帰ってしまって僕が1人で家に帰る途中、今一番聞きたくない声が後ろから聞こえた。



「こんにちは帝人君!」

「…なにか用ですか?」

「んー、冷たいなぁ」


そういいながらもさして傷ついてない表情のその人、折原臨也は、今僕が最もムカついていて、最も会いたくなかった人物だ。
僕が振り向かず立ち止まることもせず歩き続けたら、その後ろから臨也さんはついてきた。ああもう。


「いやあさあ、昨日シズちゃんがうちにきてさ。俺別に何もしてないのに殺されそうになって必死で逃げまくってたらもう朝日が昇っててたんだよ、ひどすぎると思わない?あの筋肉バカ。」

「貴方のせいじゃないんですか。」

「何もしてないって言ってるじゃない」

「本当に?」

「うん。今回は。」

「…はー。」


臨也さんの言葉を聞いて僕は盛大に溜め息をついた。静雄さんに面倒くさいことさせてしまったなぁ。

僕が心のなかで謝っている間に、臨也さんは僕の隣にならんできた。


「ところで帝人君。俺の携帯知らない?」


…来た。やっぱりこの人のだったか。


「なんでそれを僕に聞くんですか?」

「昨日帝人君に会ったでしょ?その後なんだよね。携帯が見当たらないの。」


……


なんて清々しくうそがつけるんだこの人は。

もうめんどくさいから僕は携帯の行方を言ってやった。なぜ臨也さんがあんなことをしたのか少なからず気になったからってのもあるけど。


「臨也さんの携帯なら捨てちゃいましたよ。」

「…捨てた!?なんで!」


臨也さんがめずらしく驚いてる。よし。


「なぜか僕が臨也さんのらしき携帯を持ってたらしく、僕はそれを落としてしまって、その拍子に近くにいた静雄さんが踏んで壊してしまいました。
すいません。燃えないゴミ行きになってるかと。」


「…どこまでも邪魔しやがって。」

「何か言いました?」

「いやー?それは残念だなぁ。ちょっと気に入ってたのに。」


白々しく言う臨也さん。まぁ簡単には話してくれないよなぁ。そう思った僕はこっちから遠回しに聞くことにした。


「…それより気になりません?なんで僕が臨也さんの携帯を知らないうちに持ってたのか。」

「帝人君が盗んだんじゃないの。」

「あなたと一緒にしないでください。知らないうちにって言いましたよね、僕。」

「じゃあ、誰かが帝人君に持たせたと。」

「いや、あなたでしょ。」

「証拠は?ないでしょ。」

「あなたみたいな人が理由もなく携帯を無くすとは思えません。」


思った通りのことを口にしたら、臨也さんはにやりと笑う。


「…なんか矛盾してる気がするけどまぁいいや。いいよ、話そう。
ほら、帝人君恥ずかしがり屋さんでなかなか俺の家に来たがらないから。これは何かやってあげないとなーと思って。
携帯持たせたら届けに来てくれるでしょ?」



は、え?…それだけのために?それだけのためにそんな面倒なことをして、それだけのために僕は静雄さんに殺されそうな目線を向けられたっていうのか。

あきれるほどの解答に僕は本日2度目の溜息を吐いた。はぁ…


「どこまでもめんどくさいことをしますねあなたは。僕だって届けないで捨てたかもしれませんよ。」


「…届けてくれるでしょ。帝人君は。」



そう言った臨也さんの目がなんか真剣なんだか悲しそうなんだか複雑な目をしていたので僕はそれ以上何も言えなかった。
こういう時にそういう目をしないでほしい。


「…わかりました。行けばいいんでしょ。そのかわり二度とこんな面倒くさいことしないでくださいね」

「帝人君次第だなー」



ああむかつく。喜んでる臨也さんなんて滅びれば良いのに。


僕が悔しがっているのを余所に、さりげなく手を繋いでじゃあ行こうと急かす臨也さん。
その顔が物凄い笑顔だったもんだから、なんかもう色々と諦めて繋がれた手を握り返してやった。






――――――――
わあ、最後までイミフだ。
未だキャラつかめない自分殴られればいいのに。

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