短編

□知らずこの手にあったもの
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「…静雄さん?」


「…なんでお前がそんな汚ねぇモン持ってんだ」
「いや僕にも何がなんだか…」





なぜこの僕竜ヶ峰帝人が、目の前にいる平和島静雄さんにそんなこと言われているのか疑問をもった方に説明しようとすると、まあ単純というかなんというか。


僕が静雄さんにあったのはついさっき、スーパーに買い物に行った帰りのことである。

帰り道にある公園のベンチで静雄さんがタバコを吸っているところを僕が声をかけた。

「静雄さん。こんにちは。」
「おー、霧ヶ峰」
「…竜々峰です」
「あ、わりぃ」
「いえ、よく間違われるんで…。静雄さんは休憩中ですか?」
「まぁ、そんなとこだな」
「そうですか。」
「ああ。」
「……」

いつもこんな感じのやりとりである。いつになったら名前ちゃんと覚えてもらえるのだろうか。

それから何分たったかわからないけれど、会話をすることもなく二人してぼーっと空を見上げていた。
あ、おなかすいてきたなぁ

「じゃあ僕帰りますね。」
「おーまたな。」

またいつものように簡単な挨拶をして別れようとした。

だが、
ベンチから立った時に僕があるものを落としてしまったせいでそれはかなわなくなった。

「おい、竜々峰。なんか落ちたぞ。」
「え、ああ、すいませ…ん?」
「…どうした?」
「え、…と。あれ?」

僕はあわてて落としたものを見たが、あれ、これは…


「これ臨也さんが持ってたケータイ?」





バキィ!!





凄まじい音を立ててご臨終となった携帯。

「…静雄さん?」
「何でお前がそんな汚いモン持ってんだ」



お分りいただけただろうか。僕のポッケだかどっかに忍び込まれていた臨也さんのらしき携帯のせいで、今静雄さんに人一人殺せるような目で睨まれているわけだ。はー、いなくてもうざい人だなぁ、あの人。


「え…と落ち着いてください。これは好き好んで持っていたわけではなくてですね。」
「じゃあどういうわけなんだ!?」


このままでは殺されかねない。
そう思った僕はとっさにこう言った。



「…すべては臨也さんが悪いんです!」
「そうか!じゃあノミ蠧をぶっ殺せばいいわけだな」
「そういう事です!!」


ごめんなさい臨也さん。今回はあなたが悪い。ていうか何がしたかったのか全くわからないです。



「じゃあ俺はちょっと新宿いってノミ蠧ぶっ殺してくるから」

「いってらっしゃい。…あ、そうだ静雄さん。」


まるでちょっとコンビニ行ってくる的な言い方で恐いことを言って行こうとした静雄さんを引き止め、先ほど行って来たスーパーの袋の中からコーヒー缶を一つ取り出して静雄さんに渡した。


「臨也さんはどうでもいいけど、静雄さんは怪我に気を付けてくださいね。」
「おーサンキューな」


そういって静雄さんはすぐに行ってしまって、僕はそれを見送った。
静雄さんが見えなくなった所で、夕飯何にしようかなぁ、なんてことを思いながら家に帰った。





(…なんでシズちゃんが新宿にいるの!?)
(ちょっとノミ蠧殺しに)





――――――――
わあ、意味不明に、
でもこれ続くんです。

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