プラマイ!
□ダラーズ開幕編
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四月某日。
東京都池袋・来良学園
「是非とも新入生一同には、悔いのない三年間をこの学園で過ごしていただきたく―」
入学式。
校長の話しが長いなと竜ヶ峰帝人は思う。
周りは真剣に聞いてる者や寝ながら聞いてる者。
あとは明らかに他の事を考えて聞いていない者など多様だった。
程なくして入学式が終わり教室でHRが行われた。
「それじゃあ、これから自己紹介を始めたいと思う」
担任が生徒の顔と名前を一致させる為のイベント、つまり自己紹介を始める。
帝人は自分の順番はいつだろうと胸を期待と不安で膨らませながら待っていた。
「次、竜ヶ峰」
「竜ヶ峰帝人です。よろしくお願いします」
クラスの反応は薄かった。
自分の名前は随分と立派で昔からよくからかわれた。
拍手は僅かながらにあったものの、名前にツッコミを入れる人間は誰ひとりいない。
寂しいような嬉しいような感覚に陥りつつも自己紹介は女子の番になった。
「園原杏里です」
帝人はこの少女に興味を持った。
どこか消えてしまいそうだがしっかり記憶に残る声。
透き通る白い肌。
背は低め。
綺麗な顔立ちに眼鏡。
彼女から放たれる雰囲気は周りと比べると浮世から離れた印象を受けた。
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