プラマイ!

□トリップ編
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「あ。ヤバス!執事喫茶の予約の時間に間に合わない!」


「マジか!」


「急げ急げ!」





ぱっ。と少年の手を取り走り出す。
少年も手を握り女性と走る。

端から見れば恋人に見えなくはないが残念なことにこの二人はそんなロマンチックで甘い関係ではない。
二人は血縁関係者だ。
姉弟と呼ぶには程遠い彼らはイトコ。






「ねえ、信号赤!赤になる!」


「あたしは風になる!ふはははは。浪速のスピードスターのほうが上やっちゅーはな…」


「うそぉ」





赤になった横断歩道。
青になった車道の信号。





プップー!


キキーッ!


がちゃんぐちゃり!






クラクション、ブレーキ、頭蓋骨が砕けて中身が飛び出す音。


赤い液体がアスファルトを濡らし隅々までに染み渡る。

道路に転がる二つの体は繋いだ手を離さず不気味に感じる。







桜井海咲と花崎翔の人生が終わった。




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