06/03の日記
10:59
花蘇芳 12
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「まだ諦めないのかい?」
「………」
「もうそろそろ素直になった方がいいと思うのだがね。」
「………」
お断りとばかりに、顔に唾を吐き付けてやれば、避ける気の無い顔に鈍い痛みが走る。口内にじわりと広がる鉄の味を床に向かって吐き捨てる。
其れにしてもコイツは愚かすぎる。拷問に掛けたからといって、僕が総帥達を裏切るだなんて本気で思っているのだろうか?こんなの身体が重く、吊られた手首が痛いだけだろう。
「あんた、どないして来たん?」
「…そんなの自分で考えたらいいっちゃ…」
部屋に来たっきり、ずっと此方を窺うだけだった彼奴が話し掛けてきた。
「その首を縦に振るだけで楽になれますぇ?」
「コイツの仲間になんて死んでも御免だっちゃ。」
「邪魔立てするんやったら死んで貰いますぇ。」
僕達を暫く眺めていた男がブツブツと言いだし、声を掛けてきた。
「忍者トットリ、君はどうやら私とは話す気が無いようだが嘗ての仲間とは話したいようだな。」
「………」
「まぁいい。アラシヤマ、私は暫し席を外す。総帥の出方や、彼の説得をしておけ。」
「了解どす。」
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