05/01の日記
12:19
花蘇芳 11
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「……うぅ…」
彼奴達、思いっきり殴ったっちゃね、頭がぼぉっとするっちゃ…
爪先が辛うじて地に着く形で、両の手を宙で拘束されている…とはいえ僕とて忍者の端くれ、この位の捕縛なら抜ける事は容易い。
「(それにしても此処は何処だっちゃろう?見た事ない部屋だっちゃ…)」
窓一つ無い事を除けばごくごく普通の部屋のほぼ中央に自身が吊られ、唯一の出口であろうドアとの間に3人。
「(逃げられない程じゃないっちゃけど、彼奴の話し振りならきっと……)」
ガチャ
「やぁ、遅かったじゃないか?」
「わてかて暇と違いますさかいな。」
「でも、君の言った通りじゃないか。良く分かったものだ。」
「多少の誤差は有りますけど、ある程度の予想はつきますぇ。」
薄暗い室内にやって来た奴は顔を確認する迄もなく認識する事が出来て…
「…何で、」
靴音を立てずに寄ってくる。気配は消していないのか特有の空気を纏い、僕を一瞥した。
「お久しゅう、トットリはん。」
「何でお前が此処に居るっちゃー!!」
此処にいればコイツと話が出来ると思っていた。
でも、それ以上に、
此処に居なければ、
はたまた捕まっていて仕方なく居たらいい、
そんな望みもコイツの愉しげな笑顔に崩れ落ちた。
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