01/21の日記
19:13
花蘇芳 10
---------------
「(…何か拍子抜けするっちゃね)」
制圧が済んでいるとはいえ、警備が手薄すぎるっちゃ。アチコチ走り回ったり、恐らく与えられた役割を全うしている団員は居るっちゃけど、そう多くはない。
「(建物に対してあの人数ならそんなもんかもしれないっちゃね…)」
今回の目的は、モノの奪還でも工作でもなくアラシヤマの説得。表向きは内部調査と状況分析。細部も見て回らなきゃならないから、かえって好都合だ。
覗いた部屋に運悪く居た奴は騒がれる前に手刀で寝かして、手足を軽く拘束して転がしておく。
「あんだらず、何処に居るん…」
………
微かな物音がした。其方の方角にクナイを構えては見たものは…
「…忍者トットリ、かな?」
「だったら何だっちゃ?」
大勢の団員が路を塞ぎ、自分を囲んでいる最中だった。
「ブラーボー!まさかとは思ったが、実際に現れるとは!!」
下派の団員を率いているのは、高慢で執拗に人の粗捜しにしか興味のない古参の幹部。新制ガンマ団にも否定的だったから薄々は考えてたっちゃけど…ん?
「…まるで僕が来るのを知ってたみたいな口振りだっちゃね。」
「知っていたさ、彼が言っていたからね。」
聞くな!
聞いちゃいけない!
頭の中に警鐘が響き渡る…
「………彼?」
「分からない?それとも、『解りたくない』のかな?」
「………」
「君達のお友達の、アラシヤマ君だよ!!」
「!!」
キミタチノ オトモダチノ アラシヤマ ダヨ
「…ぅ、嘘だ!!」
「事実さ。」
「信じないっちゃ!」
「信じる信じないは君の勝手だがね、真実は揺るぎなく、不変なのだよ。」
アラシヤマがシンタローを、僕らを、何かの間違いじゃなく、本当に裏切った?
「君も暗部に身を置いていたのだから解るだろう、新体制の異常さに!相手も殺さず自分も死ぬな?そんな甘い事が戦場で通じるわけが無い!!」
「……何で彼奴が…」
「シンタロー様が団を空ける二日前、あの二人が周りを巻き込み揉めていた。」
あの二人が揉める事自体はそう珍しくないが、あの時はいつもよりも質が悪かった。やたらと食って掛かる彼奴にシンタローが本気でキレていた。
ヒュッ
「うぁ…」
「敵を前に余所見とは君らしくない。」
「(…油断したっちゃ…)」
「連れていけ。」
******************************
前へ|次へ
□ コメントを書く
□ 日記を書き直す
□ この日記を削除
[戻る]