10/02の日記
12:56
花蘇芳 5
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「今の話のどの辺が優しいなのか俺にはサッパリなんだが…。」
「言動は凄く悪い人みたいだけど、言ってる内容は、『遣るべき事がある』ってのと『力ずくでも脱出させる』って事じゃない?」
言われてみれば、そう取れない事もない…か。
「つまりお前が言っているのは、アラシヤマはお前達を逃がそうとしていたと言う事だな?」
「うん。」
「しかもお前と戦う意思は無かったと?」
「戦いたくないって言ったもの。
他の子達も、首や腹に一発なり針で一撃なりして落としてるけど、それは逃げてくれないからであって。」
アラシヤマに俺達を傷付ける気は無かった…?
彼奴の腕や信用を持ってすればそのくらい出来ない訳ではない筈。
今まで積み上げてきた其れを捨ててまでやらなきゃいけねぇ事ってのは何だ…?
「預かり物はどうした?」
「生物(ナマモノ)だって言ってたから、ちゃんと冷蔵庫に入ってるよ。」
「中身は何だが解るのか?」
「ううん、鍵が掛かってるし解んない。」
「開けてやっから貸せよ。」
「駄目!シンちゃんに渡したら壊しちゃうでしょ?これは大事な預かり物だからだぁめ!!」
「チッ」
グンマを逃がす為か、ホントに大事な物か解らねぇ以上、下手な扱いは出来ねぇか…
「…この話、他の奴等には?」
「してないよ。っていうより…僕が話すより先に、あっという間に噂が広まっちゃったから…。」
「噂?」
「アラシヤマがこのクーデターを起こしたって噂になってるの…。」
「なっ!?」
「特攻の皆はアラシヤマが自分達を置いてったって嘆いてるみたい。」
確かにアラシヤマの部下達は、彼奴の事をやたらと敬拝してたし、それを切り捨てての反乱とあっちゃ騒いでも無理ないか…。
「シンちゃん!」
「シンタロー、此れはどう言う事じゃ!」
「コージ、早かったな。」
「そんなことより、何でアラシヤマがこんな事になっとるんじゃ!?」
「コージ、もうすぐミヤギとトットリも来る筈だから…。」
「その心配は要らねぇべ!」
「ミヤギ!」
「僕らも聞かせて欲しいっちゃよ。あんだらずが何をしたのか。」
「トットリ!」
感情に任せ、激情を露にするコージ、酷く慌てたミヤギ、淡々とした口調だが多分物凄く怒ってるトットリ。大雑把な話は聞いているからか、反応は三者三様だ。
「何があったか、もう一度詳しく教えて欲しいっちゃよ。」
「分かった…」
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