09/15の日記
11:13
花蘇芳 2
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本部の周りにある森に拠点を作ったらしく、幾つかのテントが並んでいた。
「グンマ!」
「シンちゃん!!」
やけに物の充実した医療テント内に居たグンマは棚やベッドを片付けていた。
「指揮執ってくれてたんだってな?」
「…うん。」
「グンマ?」
いつも明るいグンマが閉口してる。さっきまでは部下達の前だから虚勢を張っていたのだろう。
「状況は?何か、他に判った事あるか?」
「怪我人については報告のまま。クーデターを起こしたのは、アラシヤマを含めて、二十人やそこらだと思う。相手からの要求やアクションはまだ無いよ。」
僅かにだが、声が震えている。顔も蒼白いし、一人で頑張ってくれたんだろうな…
「そっか。団員が無事なのが、せめての救いだな。」
「うん。」
「それにしても、此所だけすげぇ装備だな。大抵の治療なら出来そうだ。」
「道具、皆持たされたから…。」
持たされた?持ってきたの間違いじゃないのか…?
「後、トットリ達も此方に向かってるところだよ。」
「アイツラが?」
「うん。アラシヤマの事言ったらすぐ来てくれるって。」
やっぱり自分の目で見るまでは信じられないよな…。
「……。」
「シンちゃん、あのね?今、こう言うの言っちゃいけないのは判ってるんだけど…」
「グンマ!?」
「僕、アラシヤマは敵じゃないと思うの!」
「どう言う意味だ?」
「何を!お前は対峙したんだろう!?」
「そうだよ。でも、でも…」
彼奴が敵じゃない。それは今でも疑ってる。状況証拠は『敵』だと示しているが、彼奴が『裏切る訳が無い』と心酔しきっている自分も居て…
「きっと…なにか理由が有るんだよ。いや、ある筈なんだ!」
「落ち着け、グンマ!」
「…何でそう思うんだ?」
「…だって…だってあーちゃん、優しかったもん!!」
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