09/12の日記

11:01
花蘇芳 0 (シンアラ前提シリアス)
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Prologue








陶器のように白く透き通った肌。それが仄紅く色付いて行く。
その酷く扇情的な姿を自分がもたらしている。

だから此の瞬間が好きなのかもしれない。



「…ぁ…すんまへん。」
「ん?」
「お布団、汚してしもうた…。」



言われるままに彼奴の視線を追うと、シーツに朱が滲んでいた。

何度も数を重ねているし、酷く扱った覚えもないとすれば…



「悪ぃ…。」
「別にわては平気どすけど、シーツはそうもいかへんと思うて。」



そう言って立ち上がる彼奴を改めてみると、白い腹部に紅い傷痕が新しい雫を垂らしていた。


先日の潜入工作の際に負った傷。
後一歩と言うところで組んでいた組織のミスにより、こちらの情報が漏れてしまった。それにも拘らずコイツは部下達を逃がす為に囮となり、最後の情報まで集めてきた。


流石に多勢に無勢だったのだろう…逃げ遅れた仲間を庇いながら戦った為、未だ癒えない深めの傷を抱えていた。



「…なぁ?」
「なんどすか、シンタローはん。」
「お前、なに考えてんの?」
「へ?」
「ずっと上の空だっただろ?」



決して俺を見ていない訳じゃないけど、行為に集中していない気がしてた。



「すんまへん…ちぃと、考え事が頭離れへんのや。」
「考え事?」
「…へぇ。正しくは無いって判っとるんどす。
引き返す気もあらへん。

せやけど…」



思い詰めたような顔で、何かを求めるような視線が刺さる。



「何の話だ?」
「どないしょ?我儘こいてまおか…?」
「アラシヤマ…?」
「もし、わてが…


助けを求めて手ぇ伸ばしとったら


どないしはるん?」



「な、何言って…」



愉しそうに嘯いてるかと思いきや、その眼は真剣そのもので。



「なぁ、答えたって。」



平常なら『助けを求める』のが苦手なコイツはとんでもない無茶をする事もしばしば、 その度に俺らが心を痛めてる事に気付きもしない。



「シンタロー…どないしはるん?」
「手ぇ位いくらでも取ってやるよ。」
「!!」
「助けて欲しいんだろ?」
「……助けて、くれるん?」
「当たり前だろ?お前が助けを求めるって言うなら、助けに行ってやる!」
「シンタロー…」
「それに、俺だけじゃなくてアイツラだってお前が本気で困ってたら手ぇ位差し伸べるだろうよ。」



それより何かあったのか?コイツがこんな弱気になるなんて…



「そんなら、手ぇ伸ばしたらあかん様な状況やったら…」
「助けてやるよ。」
「あん人達も?」
「どんな状況だろうが、俺もアイツラも、お前の事を諦めたりしねぇ筈だ。」
「………」
「抱え込まねぇで…俺らじゃ頼りねぇのかもしんねぇけど、もっと頼ってくりゃいいだろ?」



何だって不安がっているのか…。何か言いたげなのに、口をつむんだまま。考えが読めない。



「シンタローはん…。わての我儘、一つだけ、聞いてくれまへんか?」
「我儘?」
「へぇ。覚えといてくれるだけでえぇんどす。」



「わてがこの先何をしようとも、あんたらだけでえぇから…わてを信じて欲しいんどす。」



「信じるって…」
「言葉通りやさかい、忘れんといてくれへん?」
「そりゃいいけど…何で?」
「…きっと、きっと、わての声…あんたなら分かりはる…。」



臥せられた眼は何処か悲しげで、今にも消えてしまいそうな儚さを帯びている。



「せやから、そん時まで内緒どす♪」



制止の声にも聴かずに、再び布団の中に潜り込む。顔は背中に当てられているので表情は窺えない。


翌日、目が覚めると彼奴の姿は既に無く、朝食と書き置きだけが残されていた。遠征の日に彼奴が見送りに来ないなんて、やっぱ何かおかしかった。






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10:59
アラ誕企画2011(*^▽^)/★*☆♪
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おばんどす〜


今日は素敵☆京美人アラシヤマ(爆)のお誕生日ってな訳で、
ずっと書きたかったお話パート2(1は未消化)をちまちまupっていきますぇ(^з^)-☆



ではでは、
アラ誕企画2011『花蘇芳』
開幕でし(^^ゞ




くりす

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