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□三
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緋衣草 三
「本当に此処なのか?」
「疑いたくなるのも分かるけど本当だって。」
ロッドに案内により着いた先はごく普通の民家だった。サイズや規模などは豪邸と言っても構わないが、変わった様子が何一つ見受けられない…
「まぁ外観はこんなだけど、中は案の定ドクターの家って感じだからさ…」
表札は出ておらず、張り巡らされたセキュリティは万全のようだ。恐らく私達が来たことも既に知っている筈だ。
「…何をしている?」
後方を見やると、ロッドが抱えてきた子供に何かを言い含めている風だった。
「いやぁ、多分食虫植物とか怪しげなもんが突然出てきたりするだろうから驚いた拍子に燃やしちゃうかもしれないっしょ…?」
前もって伝えておけば、多少は安全と言うことか…
「フン、くだらん。」
「酷っ!だってさ、動く植物とか変な実験器具とかるんだから気ぃ使ったげなきゃ!」
まったくギャーギャー煩い奴だ…
「…何も燃やすな。火を点けてしまったなら速やかに消せ。いいな?」
「何もそんな…」
「行くぞ。」
子供が戸惑いがちに頷いたのを確認して呼び鈴を鳴らした。
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