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□二
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子供はロッドの隙をついて移動した後、私の向かいにある机の下に潜った。
大して広い訳でもない部屋。ロッドが子供を見付けるのに時間は掛からなかった。
「お子ちゃま見っけ!」
子供の抵抗虚しく、机の下から引きずり出された。少し顔が強張っているのが解る…僅かに震えている?
「なんか、小動物みたいで可愛いー!」
「待て!それ以上近付くな!!」
「へ?…ぅあっちゃーー!!」
愚かにも子供に抱き付いたロッドは真っ赤な緋に包まれた。
「落ち着け!それは有害だが、敵ではない!!」
「フォローんなってねぇ!」
バシャッ
程無くして、こんがり焼けた同僚と水浸しの部屋が出来上がった。
「ところ構わず燃えるんじゃない。燃やすなら外にしろ!」
迂闊な事をされたのでは今夜の寝床も無くなってしまう…火のコントロールだけでも早急に教えねばなるまい。
「…労ってはくれないのね。」
「私は近付くなと言ったのに、抱き付いた貴様が悪い!」
普段から私の火に慣れてるとはいえ、相変わらず回復の早い奴だ。
「嫌だなぁ、そんな怯えなくても怒んないから?」
怯える子供を宥めるように、今度はゆっくり様子を見ながら近寄る
「大丈夫だから、ね?」
子供のすぐ側に手を伸ばす。後の数センチは子供が自分で選べるようコイツなりの配慮なのだろう。
子供は手を取るべきか戸惑い、私に助けを求めてきたので、肯定の意を込めて頷いてやる。それを確認すると恐る恐る手を取った。
「…可愛いー!超手ぇ小さいんだけど!!」
手を掴んだ事で頭が埋まっているのか、先程燃されたにも関わらず抱き付いている。子供も身構えたものの再び燃やす事はなかった。
一度接触してしまえば、その後は触られても撫でられても案外平気なのかもしれない…
「お嬢ちゃん、お名前は?」
子供は相変わらず何も答えず、ロッドを見ている。
「ロッド、其れは男児だ。」
「マヂで?こんな可愛いのに勿体無い。」
「可愛い?」
多少の反応は返すものの、一切表情を変えない子供の何処が可愛いというのか?否、…表情ではなく子供という時点で可愛いのかの字もないだろうに…
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