■□ LONG □■

□陸
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何度陽が昇り、何度沈んだのだろう。
日に日に減っていく友達。
繰り返される今日。


外の木ぃが揺れてはる…あの心地好かった風は今も吹いとるんやろか?


頬に当たる風は酷く異質に感じられた……。






朔日草 陸




濡れた自分に吹く風は寒気ではなく、小さな花弁を運んで来た。服に張り付く花弁を見やると、昔よく見た桜だと思えた。


やる事もないのでアチコチに付いた花弁を一つづつ取り除いていく。髪に付いた花弁を取る為前髪をあげて、直ぐ後悔した。



にゃんこはんと最期に話してから髪をあげるのを止めた…皆の声を聞いてもわてには何もしてあげられへんから。



お母はんとにゃんこはんを殺した男を燃したろうと思うた。

せやけど、結局力足らずで大火傷までしかできひんかった。何度か試しては見た結果、わての火ぃの届くトコには近寄らんようになった。



何度使うても上手い事火ぃは操れへんかったんやけど、余計なトコと一緒やったら狙うたトコも燃せるようになった。


そんでも、遠くに居るあの男も、檻ん中に居る皆も、にゃんこはん達の骸の入った墓場も、わてから離れすぎとって燃せへん。



約束は果たせへんまま、時間が過ぎていく…




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