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□ 伍
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陽が昇ってあん人らが来るまでは、にゃんこはんと二人でお話しするんが日課になりましたんどす。二人とも心を読んで話すさかい怒られへんの。勿論他の子ぉ達ともお話するんやけど、話し声でバレてまうさかいあん人らが帰った後にお話しますの。
「坊や、そろそろ考え事はお仕舞いにしておきな。」
「もうそんな時間やの?」
耳を澄ますと外から砂利の音が聞こえた。あん人らが来はったみたいやな…
「今日は何するんやろか?痛いんは嫌やなぁ…」
「よくもまぁ同じ事ばっかりやるよ。そういえば、御手玉だっけ?出来るようになったの?」
「出来ひん…」
火ぃを玉にして御手玉せぇて言われるんやけど、上手く出来ひんの。動かそ思うとあちこち燃してまうし、燃やさへんよう気ぃ付けると消えてまう。せやから、いつもお仕置きばっかやの。
「わて、お水嫌いやの…」
「仕方ないさ、我慢しな。」
『調教』の時は必ず小屋の端にある大きな水槽の上でやるやけど、失敗したら棒やら鞭やらで叩かれるんや。火ぃを暴走さしたり、言う事聞かんかったら水槽の中に落とされて、頭の上くらいまで水に浸かるさかい背伸びせんと息が出来ひんようにして、わてが力尽きて溺れるまでそのままやの。
「なんやあの水ヒリヒリ痛いんどすぇ?」
「塩がはいってるんだから染みるのは当たり前さ。」
「息、出来ひんし…」
「水ん中じゃしょうがないだろう?」
「せやけど…」
ガタッ
ドアが開いて男ん人が入って来はった。檻を動かして水槽のトコに運ばれる。
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