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□ 伍
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「お母はん……」
此処に来てから随分経ちました。わてとおんなじ『化けもん』言われとる子ぉが、みぃんな『お友達』言うもんになってくらはりましたんぇ。わてが居らんようになってちゃんと優しゅうして貰ぅてますやろか?
「…お母はん。」
朔日草 伍
「何か考え事かい?」
「あ、にゃんこはん…」
綿菓子みたいな雲を眺めとったらにゃんこはんが声を掛けてくれはった。
「何か見えるのかい?」
せや、わての檻からは入り口が見えるんやけど、にゃんこはんの檻からはお外が見えへんのやったゎ。
「お外見てるんとちゃいますぇ。考え事しとっただけどすぇ。」
「聞いてもいいかい?」
「へぇ、お母はんの事考えとっただけやの。」
「でも…」
「へぇ。ちゃんと判こうとりますぇ。」
「……」
「もう会われへんて事も、わてが居らんかったら誰もお母はん事責めたりせえへんて事も。せやから、会われへんでもえぇんよ。」
「坊や…」
はんま言うと寂しない訳あらへん…ほんでもお母はんが笑うてられるんやったら構わへんの。お母はんさえ幸せやったらえぇの。
「あんたは優しい子だね。子供の癖にだから少し位我が儘言ってもいいのに。ま、聞く事しか出来ないけどね。」
「おおきに、にゃんこはん。にゃんこはんがこうやって一緒にお話ししてくれはるだけで、わては十分幸せなんよ。」
「そう言ってくれるとあたいも嬉しいよ。」
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