■□NOVEL□■

□招待状
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「祭り、一緒に行きたいっつったか?」

「へ、へぇ!」

「別に行っても良いけどよ、条件がある。」

「条件、どすか…?」

「『ちゃんと』誘ってくんねぇ?」


予想してないからか、キョトンとしてる。此れは意外にいい感じかも?



「『ちゃんと』どすか?」

「これじゃあ、誘われた感じがしないんだよな。」



ソワソワしてるし、何で頭いいくせにこう言うの気付かねぇかな?



「此方向けよ。」

「ぇ…と、誘うってのは…」

「人と話する時は?」

「!?」

「目を見て話すべきだよな?」



思った通り、これが正解か。目を見開いて、金魚みたいに口をパクパクしてやがる。



「せ、せやけど…」

「祭り、始まっちまうぜ?」



白い顔を真っ赤に染めて、やっぱあのヘラヘラした顔より此方のが断然いい。



「シ、シンタローはん、」

「あんだよ?」



簡単にいくとつまらないので、とびきりの笑顔で応えてやる。



「あああの…やっぱし、わて出来ひん!」



ほら、失敗した。



「何だよ?誘ってくんねぇんだ。」

「ちゃ、違います!」



此方を向いて話を始めるけど、ものの3秒と持たない。



「へぇ〜。お前にとっちゃ、それが人を誘う時の礼儀なんだぁ。」

「違いますけど、そないな事言うても…」



あんまり苛めすぎると後々うるせぇから妥協案をだしてやるか…。



「しょうがねぇから、此方向いてりゃ眼ぇ合わさなくても勘弁してやんよ。」



すると、みるみる内に表情を変えて再挑戦。普段と違って鼻先の人参の紐を外してあるからか、めげねぇ奴。



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