■□NOVEL□■

□U
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上官のすゝめ U



「…ハァ」



シンタローはんに頼まれて、総帥直属の部隊を受け持つ事になった。



「わてに部下……ハァ…」



いくらシンタローはんの頼みとはいえ知らない人間となど上手くいくとは到底思えない…



「なして…受けてしもうたんかなぁ…?」



何時もの様に騙されたのなら逃げる事も出来た。

しかし、『心友』という切り札を使うこともせずに頼まれた。自分には滅多に向けられない真剣な顔付きでの、本気の頼み事。



「せやけど…あれは断れへんよなぁ…。」



真摯な表情の中に見付けてしまった、感情。彼には似つかわしくない、すがる様な、困惑気味な色を帯びていた。


そう、まるで迷子の子供の様な、けれども必死にその感情を圧し殺した瞳だった…。



「あんなんみたら、ほっとかれへんやないの…」



冷静に考えてみれば直属という自由に使える面子に其れに伴う部隊。敵の多いこの状況には心強いかもしれない。その中に自分が入っているのは喜ばしい事だろう。



「…引き受けたからには、逃げる訳にはいきまへんな。」


あの人は、人付き合いの苦手な自分の為に、規則を無視する程の特例まで持ち出し、譲歩してくれた。それだけ真面目に考えてくれたのならば、自分はそれに応えねばなるまい…。



「…隊長言われてもなぁ…」



どう対応するべきかは分からない。けれども、やれるトコまでやってみよう。



そう決意し、此れから自分の部署となる部屋の扉を開いた。



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