■□NOVEL□■

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明日は昨日の風が吹く 2

「あれ?」



アラシヤマは部下に頼まれていた書類チェックの為に自分の部署に戻った筈だった。



「アラシヤマは居ないみたいじゃのう。」

「扉はナンバーロックだけだっちゃから変だっちゃね?」



確かに。彼奴は部署を空にする時、必ず自動的にかかるナンバーロックの他に鍵をかけて行く筈だ。



「でも、中に居たのは確かだっちゃよ!?」



執務机の下にキチンと畳まれた団服が置いてあった。



「何か足りんのぉ…」

「団服、だっちゃか?」



コージの言う通り、畳まれた団服は何か変だった。



「ま、気のせいじゃろうて。」





「珈琲もすっかり冷めてしまっちょるし、随分前に部屋を出たみたいじゃのう。」

「彼奴がやりっぱで出掛けるとは思わねぇけど、小さくなってから部屋に戻った可能性はあるか…。」



本部と繋がった団員寮。他の伊達衆はさっさと幹部用のセキュリティの確りした寮に移っているのに、アラシヤマだけは今までと同じ寮に住み続けている。

『きちんと幹部に昇格した訳でもないのに烏滸がましい』だそうだ。

っと言うのは理由の半分。幹部待遇であるのは周知の事実だが、筋の通らない特例は気に入らないらしい。

もう半分は俺に対する只の嫌味。
理由も必要性も理解しているからこそ文句は言わないが、僅かながらに不満があると言う自己主張なのだろう。



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