■□NOVEL□■
□上官のすゝめ
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「…わて、人見知りやし、馴れるまで時間掛かりますぇ?」
「あぁ。」
「他ん人と随分ズレとるみたいやし、団体行動なんて出来まへんぇ。」
「知ってる。」
「身勝手やし、加減も解らへんし、文句も仰山来ますぇ!」
「……」
「…それでもえぇん?」
「そのくらい覚悟の上で頼んでんだけど?」
「…そんならお引き受け致しまひょ。」
渋々といった様子だが、一度引き受けると言ったのだから平気だろう。
「せやけど、そないに仰山の相手なんぞ出来まへんぇ?」
「解ってる。こん中から4、5人でいいから選んでくれて構わねぇ。」
「それ…」
「団体名簿。個人情報もお前のIDで見れるようにしてある。」
「規約違反やないの…!」
アラシヤマの言う通り、一般の団員にこういった書類を見せるのは規約違反。個人情報の閲覧を許可するのもそれなりに手順を踏まねばならない。
「此方で見繕っても面倒見んのはお前だし、最低限、面子くらいは選ばしてやろうかと思ってな。」
「それは…知らんもんといきなし組むよりはマシやけど、甘すぎやしまへんか?」
「そんだけ本気なんだよ。即解散とか出来るだけ避けてぇし…」
それに自分で選んだなら多少は我慢するだろうという打算もある。自己中な割に責任感はあるのだから、コイツから投げ出す口実を減らせば…暫くは持つんじゃねぇかと思う。
「チェックが付いてるんはなんどすの?」
「あぁ、他ん所に入れようかと思ってる奴と色々難アリな奴だけど?」
「そうどすか。」
正確には首候補なんかもチェック付いてたりすんだけど、態々言うまでもねぇか…?
「…何時までに選んだらえぇんどすか?」
「体制変わってごたついてんのを抑えるのに発足したいから、早い方がいい。
…でも、選ぶからには、ある程度付き合うつもりで選べよな!多少時間が掛かっても許してやっから。」
「それやったら…遅くても一月以内ってとこどすな。」
「病み上がりで俺の雑用してるって事にして、アチコチの部署も自由に出入りできるようにしといてやるから、気になった奴には挨拶でもいいから一言くらい話せよ?」
「…そうさせて貰います。」
話すのが嫌だからと、書類のみで選ばれて、意志疎通が出来ないなんてのは困るしな。
「上手くいくかは分からへんけど、努力はしてみますさかい、失敗しても大目にみたってな?」
「善処してやる。」
「そら、おおきに。」
後一月で彼奴の人見知りが治るとは思ってないけど、其れに対応できる奴が彼奴の部下んなってくれっといいんだけどなぁ…
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