■□NOVEL□■

□パンドラBOX
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士官学校に入学すると決まって、俺は本気で嬉しかった。


この本部には媚びてくる奴か腫れ物にでも触るかのような態度の奴しか居なかったから。



「士官学校には世界中からちょっと変わった美少年が集まるらしいし、俺を総帥の息子だと知らない奴が居るかもしれない!」



そんな期待を胸に膨らませ向かった入学式。



「自己紹介して相手の名前を覚えるって…幾つのガキ相手にしてるつもりなんだか、あの親父は…。」


ただの暗記ゲームに周りの奴等の緊張も完全にほどけ談笑してやがる。…一応天下のガンマ団士官学校だった筈なんだけどなぁ。



「くだらねぇ遊びすんのも無駄だとは思うけど、決まりなら仕方ねぇ俺様ルールでやってやるか。」

「…あの!」

「ん?」

「総帥の息子のシンタローさんておめか?」



ここでもかよ……。
何処へ行っても付いて回る『総帥の息子』という肩書き。



「…あぁ、そうだけどお前は?」

「オラは東北ミヤギだべ!ほいで此方さ居るのがトットリだべ。」

「忍者トットリだっちゃ。」

「へぇ、東北ミヤギと忍者トットリな。先言われちまったけど、俺はシンタロー。よろしくな?」

「…総帥の息子っていうからとんでもない奴かと思ってたっちゃけど、噂なんかより好い人っぽいっちゃね、ミヤギ君!」

「は?」

「んだべな。オラもその噂聞いたけんど……総帥の息子に睨まれたら骨も残んねって言うがら、どんなおっかねぇ奴かと心配してたんだべ。」

「何だよそれ…?」



なんで会った事もねぇコイツ等が俺を知ってんのかと思ったけど、そんな噂が回ってんのかよ…



「…それってもしかして、新入生皆知ってたりするのか?」

「全員かは知らないっちゃけど、話してるグループが有ったのは確かだっちゃよ。」

「マヂかよ…全員の名前書いてやろうと思ったのに前途多難じゃねぇか!」

「「全員!?」」

「あぁ。普通に聞いて回ってもつまんねぇだろ?」

「新入生って何人くれぇ居るべか?」

「さっき101人って言ってたっちゃ。」

「ミヤギ、お前が一人目だから…やっべ!時間ねぇからまたな!」


どうせ親父が回したんだろうが、厄介な噂流しやがって…まぁ、逆を言えばコイツ等みてぇに噂がガセだと回れば良いんだけどな。



「ミヤギにトットリに俺。後98人か…間に合うかな?」






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