■□NOVEL□■

□パンドラBOX
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パンドラBOX




手に入らない物なんか無いと思ってた。


俺が望むものは全て手に入ったから。






その為に親父が何をしてたかなんて考えもしなかったのは昔の話。



ふと、パンドラの箱って話が近いのかもしれないと思った…

『一度開けてしまったが為に箱の中から飛び出した災厄が世界を覆い尽くしてしまう。』


それと同じように俺にだけ優しかった世界も一度本質を見てしまえば、親父や総帥の息子に取り入りたい連中ばかりが溢れていた。





その時初めて疎外感を感じた。


『誰も俺を見ていない』




俺は俺でなく『総帥の息子』として扱われ、総帥である親父ですら『マジックの息子』として俺を見ていた。オジサン達は俺を見ているようで何かを重ねているようでもある。


唯一グンマは俺を見ている。でも、何処か距離を感じるのも確かだ…。

愛しの弟も親父に連れ去られ、何処に居るのかさえ今の俺には捜し出せない…




かつては輝いていた世界が深い暗闇に見える。俺はその中に一人きり。



全てが嫌で仕方なかった。



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