■□NOVEL□■
□扉を開けて
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「…環境が変わったのだから、いずれ其れも変わるだろう。」
「環境が変わった…?」
囚われてた檻ん中とは違うだろうよ。狭苦しい檻ん中に居るよりは遥かに自由に動けるだろうけど。
「…少なくとも独りぼっちではない。」
「まぁ、なんかありゃ俺らも居るしな。」
「……」
「だろ?」
言われてみればそうかもしんない。マーカーちゃんが甘やかしたり出来ないんだったら俺らがうーんと甘やかしてやれば良いんじゃん。
「そっか…そうだよな。そうと決まれば…。」
こんな所で話してるよりも先ずは行動あるのみ。
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「マーカー!」
「ロッドはん…お師匠はんやったら居りまへんぇ。」
「へ、そうなの?もしかして、あーちゃんってば一人?」
「へぇ。」
マーカーちゃんってば案の定一人にしてるし……。こんな小さい子に留守番させるなんて危なっかしいなぁ。
「じゃあお兄さんも中で待ってようかな?」
「へ?ちょっ、まっとくれやす」
「おっ邪魔しまぁす!」
抱えて中に入る。困惑しながらも思ったより嫌がっては無いみたいだから一先ず良しとするかな。
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「ねぇ、あーちゃんて、しょっちゅうお留守番してたりするの?」
「…お師匠はんに用事のある時は。」
「寂しくない?」
「別に。」
「心細かったりしないの?」
「…慣れとります。」
会話が続かねぇーーー!なんで小さい子供相手にこんなに気不味いんだよ俺!
「……あーちゃん、会話のキャッチボールって知ってる?」
「…一応。」
知っててこれですか!?マーカーちゃんはキャッチボールする気無しの豪速球だけど、あーちゃんは受け取ったら投げずに捨ててる感じだし……。
「あーちゃん……俺の事、嫌いでしょ?」
「…嫌いとちゃいますけど。」
「好き?」
「どっちか言うたら。」
これで嫌われてないんだ……マーカー帰ってこねぇし、どうすりゃいいわけ?思いっきり甘やかそうと思っても此れじゃあどうやりゃいいかすら分かんねぇし。
「…ハァ、そういやあーちゃんって幾つだっけ?」
「…六つやと思いますぇ。」
「六つ!?」
そうだった……。三つ四つにしか見えないけど、見た目よりも年は上なんだっけ。
「へぇ……多分。」
「誕生日いつよ?」
「19XX年9月12日どす。」
「12日?」
9月12日って来週じゃん!マーカーの奴も言ってくれればいいのに。
「へぇ。…六つでっしゃろ?」
「うん、まだ六つだね。」
もしかして甘やかしフラグ到来?
「あーちゃん、悪いんだけど俺用事出来ちゃってさ、帰るね。」
「もう帰ってくると思いますぇ?」
「また来るからいいや。今度来る時は飛び付いてくるとか、お出迎えしてね♪」
「……」
なんか固まっちゃったけど、いい事聞いちゃったかも。
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