■□NOVEL□■

□マジカル☆キャンディ
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マジカル☆キャンディ




親父から引き継いだ組織も新体制となり早5年。反対派の暴動や異次元を旅する等、紆余曲折あったものの漸く一段落ついてきた。



団が現在抱える問題は、ただ一つ。
この一つが何度言っても解決しねぇ。

当初、深刻なものではないと思っていたから気にも止めなかった…だが、部下からの嘆願書により想像以上だと発覚した。


トットリとアラシヤマ、この二人が組めば大抵の任務は任せられるし、任務の完遂度、達成度については問題もない。
書類やデスクワークも不向きとはいえ、幹部として十分にこなしている。

仕事の面では何一つ問題はない。問題なのは…



「こうなるから、車で行くって言ったんだっちゃ!」

「わては電車がえぇて言いましたぇ!」

「…電車は乗り換えが面倒だっちゃ。」

「忍者はん、いい年して乗り換えも出来んお子やったん?」

「誰も出来んだなんて言ってないっちゃ!」

「へぇへぇ、そう言う事にしといたりますゎ。」



報告書を提出しに来たコイツラに、『時間を掛けすぎだ』と言ったが最後、此の有り様だ。



「……てめぇら!」

「シンちゃ〜ん!!見て見て〜♪」



俺の言葉を遮って駆け込んできたのは、生まれの数日早い兄に当たる男。



「あんだよ?」

「新しい薬が完成したんだ♪」

「なんや可愛らしい薬どすなぁ。」



グンマの手には何処かのアニメで観たことのあるような飴入りの小瓶。



「…何の薬なんだっちゃ?」

「大人んなったり子供んなったりするんじゃねぇの?」

「失礼しちゃうなぁ!見た目は似てるけどメルモちゃんキャンディじゃないってばぁ。」



具体名まで出す辺り、流石に自分でも似てるとは思ってたみてぇだな。



「でも、それ見たら誰だってそう思うっちゃよ。」

「だからって、薬の効果までメルモちゃんキャンディと同じだって決め付けるなんて酷いよ〜!
アラシヤマもそう思わない?」

「グンマはん、……メルモちゃんキャンディって何ですのん?」



ズカァァァァンッ!!!!!



俺らが笑ってんのに反応しねぇと思ったらまさか……



「えぇ〜〜〜〜〜!!!アラシヤマ、メルモちゃん知らないの?」

「せやから、メルモちゃんって誰ですのん!?」

「赤いキャンディ〜青いキャンディ〜って歌ってるでしょ!?」

「赤と青のキャンディがどないしましたん?」



駄目だ……元ネタが一切通じねぇ。本気で考え込んでやがる。



「…いつか貴方の街にも〜ってフレーズだけでも聞いた事ねぇの?」

「シンタロー、それは花の子ルンルンだっちゃわいや。」

「だっけか?」

「だっちゃ。」

「……花の子っちゅう事は、おやゆび姫の歌やろか?」

「「「おやゆび姫!?」」」

「ビクッ!!わて、なんぞ可笑しな事でもいいましたやろか?」



花の子=おやゆび姫
……って間違っちゃいねぇけど、それじゃねぇ!!



「アラシヤマって色んな事知ってる割に、メジャーなとことか知らないよね。」

「人に物を知らんって言う癖に、口程に無いっちゃ。」

「うぐっ…メルモちゃんとやらは後で調べますさかい、ほぉっといておくれやす!」

「いや、調べる程重要なもんじゃねぇけどな。」



一々調べねぇで、素直に聞きゃぁ教えてやらねぇ事もねぇのによ……



「ホント馬鹿な奴。」




to be next...


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2010/08/11 up

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