■□NOVEL□■
□薮蘭
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任地が近付けば幾らなんでも、多少収まるかと思ったが……コイツラには何の関係もないらしいな。
「お前がどうなろうと僕の知った事じゃないっちゃけど、隊員達の事位は面倒見るっちゃよ。」
「へぇへぇ、わてントコは心配要りまへん。それより、忍者はんは人使いが荒いさかい、あんたはん所の子ぉ達のが心配どすぇ。」
「そがいな心配いらないっちゃ。僕ぁアラシヤマと違って優しいっちゃ。」
「どうだか、ほな先行きますぇ。精々抜からんといておくれやす。」
「其れは此方の台詞だわいや。」
降下ポイント上空、
胃を痛めている部下の存在など気に止めず、口の減らない上官2名。
しかし、先程までとは違い、その表情は穏やかだった。
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「シンタロー、こん根暗との任務は遣りづらくて敵わんだわいや。」
「せや、こないな遠征帰りの忍者はんなんか居らへんでもわてだけで何とかなりますぇ?」
二人の喧嘩に対する署名が届いている中始まってしまう、帰ってくる早々の報告がてらの苦情。
任務は文句の付け所のない二人だが、問題は此れ…
「いい加減にしやがれ!他の団員からだって投書が来てんだよ!!……仲良くしろとまで言わねぇから、せめて喧嘩すんの止めろやがれ!」
「わては喧嘩なんぞしてまへんぇ?」
「アラシヤマとなんか喧嘩すらする必要もないっちゃ!」
「は?」
「シンタローはんたら何言うてますのん。忍者はんと喧嘩するなんて、阿呆らしゅうて敵わんわぁ。」
「…………もういい、とっとと下がれ。」
シンタローは書類の山に埋もれながら声を掛けてきた。
「……で、何とかなりそうなのか、あれ?」
「あれはあれで、考え方次第では非常に興味深い。一度詳しく観察してみたいものだな。」
「この手の事をお前に頼んだ俺が馬鹿だった。」
二人が幹部に昇進してはや数年。
今度は自らの半身ではなく、数日違いの兄に直接相談してみようと思うシンタローだった。
fin.