■□NOVEL□■
□扉を開けて
1ページ/12ページ
扉を開けて
今日はお師匠はんの『同僚』のお人らが夕げを作ってくれはる言うて、お家に来はった。
「何ぞお手伝いする事はありますやろか?」
「……大丈夫だ。もう少し待っていてくれるか。」
「へぇ。」
ずっと、ガタガタ言うてるし、お手伝いくらいやったら、昔旦那はんに料理教えて貰ぅたさかい出来ますのに…。
「………。」
「気になるのか?」
「…へぇ。」
ずっとリビングに居った筈やのに、いつの間に部屋ん中入らはったんやろぅ?
「心配しなくとも、食える程度の物は出来る筈だ。」
「……。」
「『部屋の中で大人しく待っていろ!』だそうだ。」
「了解どす。」
お師匠はんはリビングに戻っていかはった。
「大人しゅう…。」
時々物音や騒ぎ声がしはる。
━━ほんまに大丈夫やろか?━━
皿の割れる音、何かに当たったらしく痛みを訴える声、…此れは油ん音やろか?
「お母はんが料理しとるみたいやゎ。」
旦那はんはその様子を『嵐』て、わての名前と同じやて言うてはったなぁ……
グゥ
そんな事考えていたら、腹の虫が鳴いた。そういえば、朝から何も食べていない気がする。以前は空腹でいるのも当たり前だと思っていたが、自分も単純だとおもった。
「ぽんぽ空きましたなぁ。」
美味しそうな匂いがしだした。そろそろ完成するのだろう。
「お利口さんに待っておかな。」
************************